お礼とお詫びを ページ20
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Aさんの傷の血を僕がつい舐めてしまってから、Aさんが距離を置いてしまった。
僕はソファに逃げ、Aさんはガラスの破片を掃除機で片づけた後からずっと、怪我をした指を握り立ち尽くしている。
これは、確定で嫌われてしまったか……。
そりゃそうだよね。
見ず知らずの男から急に指舐められたんだから、嫌だよね。キモイよね。怖いよね。
引かれて当然だよね。
でもごめんなさい。とっても×6美味しかったんです!
もう何だろう、究極VS至高って言われたらAさんの血はどちらでもあるからどっちも勝利!みたいな?ああ、もう何だろう、例えがわけわかんない。
見た目も可愛くて香りも僕好みだったうえに、貴女の血は絶品でした。
きっとこの味には二度とお目にかかれないかもしれない。
それくらい僕好みの味だったんです。
なんて言ったら、もうマジで警察沙汰だから止めよう、うん。
この香りも味もこれが最初で最後かぁ。残念だなぁ・・・。
でもまあ、これで2週間くらいはどうにか動けるかな?
しばらくはヒョンの家で石のようにじっとしていよう。
「あの、ご迷惑おかけしました。雑炊、美味しかったです。お邪魔しました……」
立ち上がって雑炊のお礼を言い、お辞儀をして、彼女の部屋を出ようとした。
僕の肌がざわりと粟立つ。
視線の先の玄関ドアの向こうに気配。
黒いモノ……これは、人の感情……?とっても嫌な感じがする。
玄関ドアを見つめたままゆっくり一歩一歩後退して、小声でAさんに尋ねた。
「あの、付かぬ事をお伺いしますが、」
「は、はい?」
「あなたを付け狙うような人がいたりしませんか?」
「え?」
「ドアの向こうに人がいるんです。でも凄く嫌な感じがする」
「……?」
Aさんに視線を戻すと、心当たりがないのかキョトンとした。
「ドアモニターで確認できますか?」
僕は壁にあったパネルを指差す。
「ちょっと待ってください……」
緊張した様子でモニターを確認したAさんが、今度は表情を強張らせ、後退りながら震えだした。
「だ……誰?オッパじゃない!」
「……ご飯のお礼と、さっきの非礼のお詫び、させてください」
ちゃんとしたお返しができるかも。
恐怖で青ざめたAさんを安心させたくて、そっと肩に触れ、笑って見せた。
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あがしおん(プロフ) - syky1814さん» コメントありがとうございます。間もなくパス外して更新しますので、もうちょっとだけお待ち下さい〜。 (2020年6月13日 21時) (レス) id: 4017986d72 (このIDを非表示/違反報告)
syky1814(プロフ) - はじめまして結婚してくださいのパスワードを教えてください。 (2020年6月13日 21時) (レス) id: 1e639eab67 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - kinanekoさん» コメントありがとうございます!何だかガッツポーズが見える気がしてきましたwそんなに喜んでいただけると作者冥利に尽きます。ありがとうございます、ぼちぼちっと頑張ります♪ (2019年1月3日 22時) (レス) id: 1e736e073a (このIDを非表示/違反報告)
kinaneko(プロフ) - あがしおんさんの新作を見つけた時、「来た……!!!!よっしゃ!」と思いました!今年もいろんな作品が見たいです!頑張ってください!応援しています! (2019年1月3日 21時) (レス) id: 6812edf24f (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - ARMY&CARATさん» 私の拙い作品を気に入っていただけて、ありがとうございます!マイペースですが、更新頑張ります! (2018年12月29日 2時) (レス) id: 1e736e073a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あがしおん | 作成日時:2018年12月25日 0時