こんな僕でも・・・が欲しい！

・柘榴色の瞳 ページ19

You side


　ちゅっと音がしてジミンさんの口から指が解放される。

「･･･やっぱり美味しい」

　そう言ったジミンさんの私を見る目が変わった……。


　正確には瞳の色が変わっていた。


　さっきまでキラキラした子供みたいな黒目の瞳は、今は色気に満ちた妖艶に輝く深い柘榴色の瞳。


　そんな瞳に見つめられて、暗示にでも掛かったように目を離せなくなった。
胸がきゅんと締め付けられ、トクトク早まる心音。
　握られている手に力を感じて、捕らえられた様な感覚に陥り、もうどうしていいかわからない。

　一瞬、ジミンさんの視線が僅かにずれたとたん、金縛りから解き放たれたように身体の自由が戻る。
　じっと見つめられた事に恥ずかしくなって、その視線から逃げるように下を向いた。


　ジミンさんが急にハッとした様子で動きが固まり、

「あ、あの……ごめん、傷、大丈夫？あ、洗わなきゃ…………」

　真っ赤な顔で私の手を取ったまま立ち上がり、蛇口を開けてさっきまでジミンさんの口の中にあった指に冷たい水がかかった。

「は、破片は、ぼっ僕が、片付ける、ね？」

　ジミンさんは言葉を詰まらせながらも、手際よく割れたコップを綺麗に片づけてくれる。



　私はただ黙って、その様子を眺めていた。


　


　


　だって、今声を出したら…………


　




　心臓爆発するし、絶対変な声が出そう。

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