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――私たちは近くの居酒屋に足を進めた。
あえて騒がしい雰囲気の店を選んだのは、またあんな何とも言えない空気になると、私が暴走しそうな気がしたから。
あ、ジョングク君の事相談してみる?
いや、これは私とジョングク君の問題だし……。
てかそもそも、そういう事って主任に話すこと?
SJ「Aちゃん、どうしたの?表情がコロコロ変わって面白いんだけど?」
主任が笑いながら私の顔を覗き込んできた。
その顔の近さに赤面してしまった。
思わずのけぞって距離を取ろうとすると、テーブルに置いた私の右手を握って、私の動きを止めた。
……やっぱりいつになく主任も積極的だ。
A「今日はどうしちゃったんですか?ジョングク君といい、主任といい……」
つい口が滑った。
その言葉で主任の表情が曇った。
SJ「ジョングギが……どうしたの?」
しまった…私、お酒のせいで気が緩くなってる。
言わない様に気を付けてたはずなのに…!
A「何でもな・・・「聞かせて?何があったの?」
……焦っているようだった。
A「えと……さっきのお店でその……告白されて……」
それだけ聞くと主任は私の手を握る力を強め、余裕がない顔で俯いた。
SJ「・・・・・・」
騒がしい店内の音にかき消されたけど、確かに何かを呟いた。
直後、突然立ち上がり、私の手を引いてさっさと会計して店を出た。
A「主任?どうしたんですかっ?」
終電もとっくに過ぎた人通りのない薄暗い道を、私の手を強く握ったまま早歩きでずんずん進むソクジン主任。
私は付いて行くのがやっとで、何度も転びそうになった。
A「主任!ソクジン主任!痛いっ……」
そういうとハッとしてやっと立ち止まってくれた。
その刹那、
私の視界がフッと暗くなり、温かい所に顔を埋めていた。
さっきまでいた居酒屋で付いたであろうタバコの匂いと遠くに感じるコロンのような香り……。
SJ「ごめん……。」
その言葉があまりに近くで聞こえて、そこでようやく私は主任に抱きしめられていることを理解した。
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作者名:あがしおん | 作成日時:2018年5月6日 22時