〜利器〜 2 ページ45
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「ユンギ様は普通の生活をほとんどなさったことがありませんでしょうから、A様が口煩くなられる理由がお分かりにならないのでは?」
「………………」
自分でも薄々思っていた事をズバリ、ハユンに言われて割りとショックを受けた俺。
「一度ユンギ様も、A様がなさっていた『普通の生活』を体験なさってみては?」
「普通の生活ねぇ……」
「ユンギ様、提案ですが、まずは離れで暫し過ごしてみるというのはいかがでしょう?」
離れを作った理由は自炊が好きなAの為、一人の時間を作れる場所を設けてやりたかったから。
会社で披露パーティーをしたときに、人が多いところに出ていくと疲れる、やっぱり一人になれる場所があるのはいい。と言っていた事を覚えていたからだ。
確かに離れにはベッド以外の最低限の家財道具を用意してあるから、そこで人一人暮らすには問題ない。
だけどよ?
「俺が一人で生活できると思うか?」
「お“食事”以外は、私共の手助けなしには無理でございましょうね」
ハユンにキッパリと潔く言い捨てられて、ぐうの音も出ないとはこの事だ。
でもまあ、遥か昔だけど俺だって人間してた時期もあったわけだし?
全く出来ねぇってことはねぇだろ?
「そういうわけだから、一人で離れで過ごしてみる事にしたから」
昼下がりのティータイムを楽しんでいたAに、声高らかに宣言してやった。
「……え、本気なの?ユンギ?」
「あったりまえだ!お前に怒られてばっかりは流石に男が廃る!」
「大丈夫……なの?」
「飯は作らなくていいんだ、その他が出来りゃあ問題ないだろ?」
「いや、でも……」
「俺のガキの頃と違って、今は文明の利器ってもんがあるだろ?
風呂くらい一人でちゃちゃっと入ってやるよ!」
こうして俺は、意気揚々と暇つぶし程度の数冊の本と、仕事の書類片手に離れへとやって来た。
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あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます!ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです!あぁっ!心臓大丈夫ですかっ?!男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます! ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが!ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです!! (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あがしおん | 作成日時:2019年6月5日 21時