〜遭逢〜 4 ページ5
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「……おい、何してる?」
男たちが驚いたように振り向いて俺を睨む。
「何だてめぇ!」「邪魔すんな」
小枝の様にひょろひょろした威勢だけはいっちょ前の男が、睨みを利かせながらにじり寄る。
「そこの女が困ってるように見えたから声掛けただけだけど……」
顎でついっと女を指すと、もう一人の、多少は腕に覚えのありそうな背の高い男が舌打ちして女を隠すように立ちはだかった。
「あぁ?関係ねぇだろ?おっさんにはよォ!」
小枝のような男が、これまた小枝のようにひょろひょろした腕を勢いよく振りかぶると、重みのない拳が俺の左頬に当たる。
その反動でぐらりと揺れる身体を片足を出すことで踏ん張り、地べたに転がらない程度に耐えた。
一発が入ったことがよほど嬉しかったのか、ニタニタと笑う小枝の男。
うっすらと口の中に感じた不味い鉄の味。
あんなひ弱な拳でも、口の中くらいは切れるのかとちょっと感心したところで。
「はぁ〜……」
つい溜め息が漏れた。
さっきからほんの少しだけ怒気をチラつかせてやってんのに、それにすら気づけないなんて……鈍感な奴等だ。
ホントにこいつらは食物連鎖の頂点の種族なのかよ。
「その程度の力で俺に喧嘩売ってんだ……」
「んだと?!てめぇこそヒーロー面して俺達に喧嘩売ってんじゃねぇよ!」
「……ヒーロー、ねぇ?」
威勢ばかりで相手との力の差すら量れないでいる男共に呆れるばかりだ。
こんなガキ共に見せつけるまでもねぇと思っていたが。
痛くも痒くもねぇパンチだったが、殴られてヘラヘラしてられる程、俺はお優しくはねぇんだよなぁ。
「俺がヒーロー……ねぇ?」
ふつふつと熱が湧く。
それに呼応して心の奥底に眠らせていた本能の獣が目覚めた。
身体の奥から沸き起こる熱で周囲の空気が揺らめく。
揺らめきは地面を揺らし始め、高まった揺らぎが逃げ場を求めて周囲の物という物をカタカタと震わせ共鳴させ、共振が高まる。
「な……何だ?」「何が起こってんだ?」
周囲の異変に気を取られていた男たちが再び俺を見た瞬間、驚愕と恐怖に彩られた顔になった。
「俺に喧嘩を売った事、後悔させてやるよ」
「ひっ……!」
集束させた怒気の塊を目の前の二人に意識を向けて、真っ直ぐ放つ。
「思い知れ……クソガキ共がァ!!」
その場から一歩も動くことも誰に触れることもなく、秒で男二人を吹き飛ばした。
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あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます!ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです!あぁっ!心臓大丈夫ですかっ?!男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます! ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが!ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです!! (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あがしおん | 作成日時:2019年6月5日 21時