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〜遭逢〜 5 ページ6

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数メートル先の建物の壁に叩きつけられ滑り落ち、真下に積まれた空の酒のケースの上に落ち、ガラガラと崩れるそれと共に敢えなく潰れた男共。


怒気を放った事で俺の中の熱がスッと治まり、周囲の共振が徐々が穏やかになり、地響きも鎮まっていく。


身体の熱がゆっくり引いていくのを感じながら、ケースの山に埋もれた男共に近づいた。


「……一応死なねぇ程度には抑えたつもりなんだけど」

小枝の男の頭を掴み引き上げると微かに呻き声が聞こえた。もう一人の背の高い男の方も頭を掴みあげて覗き込むと目玉をくらくらさせている。

まあ、息はしてるし、後はどうなろうが知ったこっちゃねぇ。


捨てるように頭から手を離し、

「どっちかっつーと、俺はダークなヒーローだな」

汚れを払う様に手をはたき、自分の言った言葉にちょっと笑ってしまった。




久しぶりに一瞬でも本気を出し、まだ興奮気味だった俺は、今更ながら女の存在を思い出した。


「もうだいじょ…………あ、」

女は顔面蒼白で放心して突っ立っていた。

完全に怯えさせてしまったな。
せっかく美味そうな匂いしてんのに、この様子じゃ今日は頂けねーじゃん。

距離を保ったまま、意識を飛ばしかけている女に声を掛けた。


「おーい?大丈夫か?」


ゆっくり俺を見て、ハッとなった女。


「……あ、え、」
「大丈夫か?」
「あ、か……」
「ん?あか?」


途端にふっと力が緩み、女が膝からゆっくり崩れ落ちる。


「おっと……」


地面に倒れ込む前に駆け寄り、腕の中に受け止めた。
羽根のように軽い身体を抱き留めると、舞うように匂いたつ女の甘い香りに一瞬で包み込まれ、否応なしに鼓動が早まる。



「おいおい、こんなとこでぶっ倒れんなよ……」


とりあえず頂きたい衝動を抑えて女の顔を覗き込んだ。




やっとぼんやりとした瞳が俺を見て、




「赤い……目……」



 



そう言い残して女は意識を失った。

〜遭逢〜 6→←〜遭逢〜 4



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作品ジャンル:恋愛
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あがしおん(プロフ) - かなこさん» コメントありがとうございます!ドキドキ&しっとりとした雰囲気を暫しお楽しみください♪ (2019年7月3日 7時) (レス) id: 97c4c54377 (このIDを非表示/違反報告)
かなこ(プロフ) - こんな僕でも…を読み返そうかなと思っていたらまさかのユンギ verの連載が始まっててすぐ読みました(*^^*)こっちのお話もドキドキさせてもらってます(〃ω〃) (2019年7月2日 23時) (レス) id: 9abaeb2ac4 (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - miyaさん» コメントありがとうです!あぁっ!心臓大丈夫ですかっ?!男前ユンギさんが描けてるなら、もう作者いうことないです! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
あがしおん(プロフ) - たきゆさん» コメントありがとうございます! ええ、切ねぇです。正直切ねぇです。切ねぇですが!ボチボチゆるっと更新をお待ちいただけたらなぁ、と! (2019年6月25日 22時) (レス) id: 00967bc65a (このIDを非表示/違反報告)
miya(プロフ) - ユンギがぁ〜男前過ぎて、心臓が痛いです!! (2019年6月25日 21時) (レス) id: 3d660c888b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あがしおん | 作成日時:2019年6月5日 21時

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