番外編56話 ページ47
熱を出してしまった雅紀。
そばに付き添い座る翔だが、小さな背中は力なくとてもさみし気である。
部屋のドアを少し開けその様子をじっと見守るのは准一。
なんだか部屋に入って行けない。
なぐさめたらもっと翔が落ち込んでしまうような気がしてそばに近寄れないでいた。
「准一」
「……おいちゃん」
「ちょっと職場に呼ばれた。今日はこれで帰るな？」
「うん」
「……お前まで元気ない」
「おいちゃん……オレ……」
「どうした？」
「翔たちを置いてロスに行けん……」
思いつめた目。
「二人とも俺の弟やねん。……放っていかれへん」
かわいい弟のような二人。
辛い思いをすることが多い二人から離れて自分だけ幸せになれないと言う。
准一の気持ちはわかるが……。
「向こうに行きたくはない？」
「行きたいよ。ばーちゃんにも会いたいけどな……」
でも残して行けない。
「日本に准一を残して帰ることは出来ない」
「……じゃ、じゃぁ二人も一緒に連れて！」
子供の思考は時に破天荒。
思ってもいない事を真剣に言う。
「すぐにダメって言わんといて！考えてほしいねんって」
お願いと顔の前に手を合わせ拝む。
考えても考えなくても答えは出ている。
常識的には無理な話だ。
けれど甥の真剣な目に坂本は頷く。
「ほんまに？頼んだよ、おいちゃん」
元気を取り戻した准一は部屋に入って行く。
丸まった小さな背中をバンバンと叩き元気づけをしはじめた。
「マジで考えるの?」
すぐ後ろから声。
振り向けば口を尖らせた智と井ノ原が立っていた。
「考えるだけはな。現実、その通りには行かないだろうけれど」
「ふぅーん」
面白くなさそうに部屋に入る智は准一の脇腹をくすぐり始めた。
「何すんねん！」
「……面白くないから面白くする」
「は？何わからん？あははははは！」
准一も仕返しにくすぐり返す。
智の足が伸びて翔の脇下をくすぐった。
「ふぁはははは！」
そこからはくすぐり大会状態の三人と賑やかな中で熟睡する雅紀。
廊下でその光景を見ていた坂本と井ノ原。
「仕事で呼ばれていたんだった」
思い出し慌てる坂本を井ノ原は呼び止める。
「坂本さん、良かったら酒でも飲みに行かない？」
「あぁいいけど。今日の夜なら大丈夫だよ。仕事が終わり次第でいいなら」
「じゃぁ連絡を待っている。良い所があるんだ」
「楽しみにしているよ」
子供たちの笑い声が聞こえる。
約束を交わし坂本は仕事に向かった。
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ゆきんこ。(プロフ) - ずっとずっと、この作品を、むつきさんを探していました。前に1度むつきさんのお話を読んだ時にお気に入り設定をしたのですが、そのアカウントがログインできなくなってしまい(記憶力のせい)新しいアカウントを作ってから探し続けてたんです！見つけられてよかった。 (2016年9月16日 23時) (
レス) id: cf8d713ce4 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - やみぃ〜さん» コメントありがとうございます。予定より壮大になっております！頑張りますので見守っていてくださいね！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はぴともさん» お返事遅れました。そして更新も遅れましてです（汗）一波乱の臭いプンプンでご披露させて頂きます！ (2016年9月16日 21時) (レス) id: f36c77de6f (このIDを非表示/違反報告)
やみぃ〜(プロフ) - ありがとうございます。意外と壮大な話で申し訳ないです。でも応援しています。 (2016年9月7日 23時) (レス) id: 571eda6b98 (このIDを非表示/違反報告)
はぴとも(プロフ) - むつきさん更新ありがとぉ＼(^o^)／なにやらまた一波乱ありそうですね。スッゴい楽しみです。 (2016年9月7日 22時) (レス) id: d2f048c3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2016年4月20日 21時
