6話 バトンを渡します ページ6
部屋で眠っている筈の智がキッチンにいた。
「寝たんじゃなかったの智ちゃん」
「喉が渇いちまって」
冷えたペットボトルの水を冷蔵庫から出す。
内心雅紀は慌てた。
先ほどの青田との会話は聞かれていなかっただろうか。
「常温の水の方がいいんじゃない？寝る前に冷たいのじゃ目が冴えちゃいそうだよ」
「んーどこにあるのかわかんなくて」
自分が真剣な顔でメールをしているので水のありかを聞けなかっという。
てことは青田氏との会話は聞かれていない。
和也に状況連絡をした辺りからキッチンに来たのだ。
「そこの棚の横にあるよ」
「おぉこの箱の中にあったわ」
ご満悦の智。
「もう昼めし作ったのか？」
次に鍋を覗き込む。
「うん。おいしいパンがあったからシチューを作ったよ」
「そうか、昼めしが楽しみだな」
今度こそ寝るわと部屋に向かう智の足が止まった。
雅紀の顔を下から覗き込むように見つめる。
「な、なに智ちゃん？」
「なんか顔色が悪い気もすっけど……」
智君チェック。
額、首を触られる。
「熱はないな」
「あーっさっき仕事の連絡に超真剣になったからかな？」
「知恵熱か？」
「子供じゃないからね俺」
ふふんと笑い智が雅紀の頭をなでる。
「ちょっとでも体がキツイと感じたらすぐに言うんだぞ」
「ありがとう。なんか頼もしいね」
「あたぼうよ。兄ちゃんなんだぞオイラ。大事な弟だ」
大切な弟。
兄ちゃんなんだぞ。
胸が熱くなる。
「にーちゃん……」
「ん？なんだ、どうした？具合が悪いか？」
「……俺のにーちゃん……だもんね」
「ん？」
「あのね智ちゃん」
「おう？」
「……俺の足踏んでます」
「お？」
しっかりと雅紀の右足を踏んでいる。
かかとを付けて足をよけた。
「わりぃ」
「ひゃはっ。さぁて俺もひと寝するよ」
目が覚めたら一緒に昼ごはんにしよう。
「おやすみ智ちゃん」
「おやすみぃ」
お互いの部屋に入る。
ベッドにボフンと体を沈めた。
雅紀は小さく息を吐く。
「次……和ちゃん頼むね」
青田との対峙に疲労困憊。
和也にバトンを渡して眠りについた。
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むつき(プロフ) - tthisamiさん» 遅くなりましたが再開いたしました。 (8月29日 21時) (
レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
tthisami(プロフ) - 再開嬉しいです。 (8月29日 20時) (レス) @page50 id: dba9116941 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はるさん» なかなか更新できずに申し訳ないです。少しずつですが頑張っていきますので！ (2021年3月30日 23時) (レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - むつきさん、更新ありがとうございます！とても嬉しいです。続きが楽しみです！ (2021年3月23日 4時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ちぇろさん» 5人が揃いました。北の地で兄弟たちの絆をお届けできたらと思います。 (2020年10月27日 0時) (レス) id: 7a3d8c34a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2019年8月2日 23時
