30話 助け船 ページ30
執拗な潤の取り調べにとうとう悩んでいるのは智のことだと言い当てられてしまった。
「な、何をおっしゃっているので？？」
全力でとぼける。
そんなリビングの様子を静かに見守っていた雅紀と和也。
キュッと蛇口の水を止めて手を拭く。
「まー兄、そろそろだわ」
「そうだね、和ちゃん」
隣に座っていた智がジッと翔の顔を見つめている。
それはもう穴が開いてしまうのではないかという位に。
「オイラの何で悩んでんだ？」
「あはっ何ことか検討もつかないだけど」
「翔くん！」
いつもの優しい声ではない少し強い口調に翔の体は小さく飛び跳ねた。
年長者のこの声にあらがう術は知らない。
窮地である。
「コーヒーが入りましたよ〜」
ソファー前にある小テーブルに置かれたマグカップ。
「ミルクいる人いる？」
和也と雅紀がそばに寄ってきた。
助け船と喜び浮かべた笑みはすぐに消える。
「しょー兄もう白状したら？」
まさかの和也の言葉である。
雅紀に助けを求めようとするが……。
「うん。俺ももう隠せないと思うよ」
雅紀が智の祖父母のことを隠してほしいと言ってきたのに。
「雅兄たちは知っているの？」
「知っているというか」
「私ね巻き込まれたんですよ」
どっちかというと自分の方が巻き込まれた感じですが？いやいや、家族のことで巻き込まれたと言うのもどうかと思うと言いかけた翔は和也の続く言葉に喉で声が止まる。
「翔兄ね柚子香ちゃんと喧嘩したんですよ」
え？柚子香と喧嘩？
翔の目は点。
「仕事終わり高校の高校の同級生と飲む約束をしてたんだよね、そんで翔ちゃんは柚子香ちゃんとデートの約束だったんだって」
話はこうだ。
翔は彼女と会う約束の時間まで和也たちと飲むことにしたが酒が入りすぎてしまった。
約束の時間は過ぎて大遅刻。
しかも泥酔に近い状態でデートどころではなくなり介抱させてしまった。
それくらいで心の広い柚子香は怒りはしない。
次の日だ。
二日酔いでフラフラの翔は昨夜の挽回と言わんばかりに分刻みのスケジュールでデートを決行。
気分が悪くデートの各場所に到着してはトイレに駆け込む。
デートはやめて休んでほしい、夜には北海道へ帰るのだからと柚子香に首を縦には振らなかった。
「ほらしょー兄って格好つけじゃない。」
強引に次のデート場所に行こうとする翔にとうとう彼女がキレました。
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むつき(プロフ) - tthisamiさん» 遅くなりましたが再開いたしました。 (8月29日 21時) (
レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
tthisami(プロフ) - 再開嬉しいです。 (8月29日 20時) (レス) @page50 id: dba9116941 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はるさん» なかなか更新できずに申し訳ないです。少しずつですが頑張っていきますので！ (2021年3月30日 23時) (レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - むつきさん、更新ありがとうございます！とても嬉しいです。続きが楽しみです！ (2021年3月23日 4時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ちぇろさん» 5人が揃いました。北の地で兄弟たちの絆をお届けできたらと思います。 (2020年10月27日 0時) (レス) id: 7a3d8c34a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2019年8月2日 23時
