15話 似たもの夫婦か ページ15
運ばれていた肩からゆっくりと降ろされる。
着物の反物も多数取り扱っているだろう店内は昔ながらの雰囲気が漂う。
「智、店と家の中を案内しよう」
青田がそう言うと市橋兄弟は自分らの仕事は終わりと向かいの家へ帰ろうとする。
「待って頂戴。母屋の台所のじゃ口から水が漏れているの。直してもらいたいわ」
アツシは頷き、ヒロシは家で仕事をすると帰っていった。
「旦那様はこれから大事なお客様がいらっしゃるのだからご準備をなさって。私が家のご案内をいたします」
ついて来なさいと店の奥へ。
「すぐに行った方がいい。おばさんはおやっさんより怖いぞ」
背中を押され和也は青田夫人の後を追う。
「お店の中は後で旦那様に説明してもらいなさい」
ドアを開ける。
短い廊下があった。
廊下奥には洋風なドアがある。
母屋らしい。
「お店の方は100年前に建てられたままを改造しながら使っているの。母屋は住みやすいように建て替えたわ」
まず案内されたのは仏壇の置かれている和室。
正座をさせられる。
何故かアツシも隣に座る。
「ご先祖様にご挨拶をなさい智」
「青田さんにも何度か申し上げているんですが智ではありません。人違いです」
前に正座していた夫人が振り返る。
「人違い？ではあなたは誰です」
「大野和也と言います。智の弟です」
少しの沈黙。
正面を向き座りなおす夫人。
「……雑誌の写真はあなたのように見えます」
「ﾜﾀｼと兄の容姿は似ています」
「あなたが智ではない証明は出来ますか？」
青田氏と同様に人違いを認めてもらえない。
ｱﾂｼの腕をつつく。
「おばさん、この人は違うみたいだよ」
「あなたは素直だからすぐに騙されるのよ。この子は智です。この家を品定めするために人違いと言っているだけ」
あの主人にこの妻。
似たもの夫婦か。
「同意もなく連れ出され財布すら持っていません。運転免許証でもあればすぐに証明できたのですが」
「証明できるまで私はあなたを智として扱います」
証明できるまでって……。
途方に暮れる和也。
ふと携帯電話がズボンポケットで震えた。
雅紀からだ。
『和、翔ちゃんと理事長に説明したよ。翔ちゃんが迎えに行くって』
翔が迎えに来てくれる。
なら施設に寄り荷物を持ってきてもらえばいいのではないか。
免許証も保険証も財布に入っている。
『うん了解』
すぐに翔へ荷物を持ってきてくれるようにメールを打った。
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むつき(プロフ) - tthisamiさん» 遅くなりましたが再開いたしました。 (8月29日 21時) (
レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
tthisami(プロフ) - 再開嬉しいです。 (8月29日 20時) (レス) @page50 id: dba9116941 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - はるさん» なかなか更新できずに申し訳ないです。少しずつですが頑張っていきますので！ (2021年3月30日 23時) (レス) id: 56df0ba715 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - むつきさん、更新ありがとうございます！とても嬉しいです。続きが楽しみです！ (2021年3月23日 4時) (レス) id: 6cd0f843d6 (このIDを非表示/違反報告)
むつき(プロフ) - ちぇろさん» 5人が揃いました。北の地で兄弟たちの絆をお届けできたらと思います。 (2020年10月27日 0時) (レス) id: 7a3d8c34a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むつき
| 作成日時：2019年8月2日 23時
