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『……そうかぁ、応援しちゃうかぁ』
「え？」
『チーノはほんまに、私がその人と付き合ってええの？』
晴れ渡る空に飛行機雲が流れる。空を割るように縦断する細い雲が、俺達の境界線を作るみたいで嫌気が差した。
Aは何時もの明るいテンションではなく神妙な面持ちで俺に問いかけてくる。……そんなん、嫌に決まっとるやん。
『……ちょっと期待したのに』
「な、何を」
『チーノが、嫌やって言うてくれへんかなって』
下着が見えないように抑えて体育座りをして縮こまるAの前髪が、太陽に透けて揺れた。
なに、なんや、それ。
「それ、って、その、」
『……ずっと、嘘ついててごめん。私ほんまは、チーノのこと────』
言い終わる前にAの唇を塞ぐ。薄く目を開くと、驚いたまま瞳を揺らしたAと目が合った。
離れる時に舐めとったソースが甘辛い。ぺろりと自分の唇を舐めると、Aは金魚のように口をぱくぱくさせて固まっていた。
「……お前ずっとソース口の端に付いてたで」
『はぁ！？早よ言えや！！……っていうか、あの、いま、き、』
「何？ソース取っただけやん」
『そんな取り方あるか！！』
「嫌やで」
『何がや！！味か！！』
「お前が、他の男と付き合うの」
俺の肩をぽかぽか殴るAの動きが止まった。空中で振り上げたAの小さな手を取って引き寄せる。胸元に乗っかった重みが愛おしくて、両手で大事に抱えて髪を撫でる。
「……俺にせえへん？」
『……しゃあないなぁ』
「っは、うっぜ」
『は？辞めたろか？』
「何でやねん、俺の事好きなんやろ？」
『す、好きやけど……』
「うん、俺も好き」
胸元に埋められていた顔を上げて、もう一度キスを落とす。不慣れながらも受け入れてくれる唇に、何度も何度も重ねる。
いつからか呼ばれていた「2人」という呼び名は、これからもきっと呼ばれる。
漸く掴めた手を、触れられた唇を、もう離すことは無い。
「……はぁ、初キスがソースの味かぁ」
『お茶目で可愛いやん？』
「こんなガサツじゃ俺以外に拾われへんやろなぁ」
『拾われそうやったやんけ』
「無理無理、2秒で別れるて」
『じゃあ2秒付き合うてくるわ』
「駄目、俺以外んとこ行かんといてや。もっかいチューしよ」
『……そうやって！可愛いことを言って！誤魔化すなボケ！』
「いﾞってぇ！」
願わくば、この青い日々がずっと続きますように。
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鯉口(プロフ) - 赤羽 紫音さん» コメントありがとうございます！ (2020年4月4日 3時) (
レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 紫音 - 凄い！ (2020年4月4日 2時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
鯉口(プロフ) - ノアさん» 主催者の鯉口です。コメントありがとうございます(*^^*)まだまだ続きますので更新をお待ちください！ (2020年2月29日 1時) (レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
ノア - めっちゃ好きです！ 文才分けて欲しいぃ((( 毎日、楽しみにさせてもらってます！ 更新頑張って下さい！ (2020年2月25日 22時) (レス) id: 47bc0266fa (このIDを非表示/違反報告)
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