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「ひとらんからこっちに来るって、久しぶりじゃない？」
「それくらい困ってんのよ、俺は」
彼の前なら、かなり砕けた口調になる。
それくらいこの男とは縁が長い。
「らんちゃんがここまで困ってるのを見るのは珍しいなぁ？」
彼、オスマンは俺の二つ年上の友人だ。
同じ士族で、今は役所に務めている。
赴任先も一緒だったのは救いだった。
彼以外に、頼れる宛てがいないのだ。
オスマンとくだらない話をしていると、彼の奥さんがお茶を淹れてくれた。
彼女とオスマンも親が決めた結婚であったが、その年の差は十つだった。
かなり若い奥さんを貰ったな、と思いながら、同じ士族としてすぐに事情を察した。
俺と同じように見えるけれど、全く違う。
この夫婦は仲が良かった。
十歳も年が離れていながら、お互い遠慮する様子は無い。
むしろ妻、フタバの方が勝ち気で竹を割ったような性格だから、それゆえに上手くやっているのだろう。
今も普通に会話に参加している。
「ひとらんらんさん、ちゃんと奥さんのこと見てあげてるの？
寂しがったりしてない？」
もはや敬語なんていらぬほどに二人には助けて貰っていて、今日も彼女に怒られた。
「それがさぁ……。全然だめなの」
「だと思った。
だめよ、あんないい娘をほったらかしにしちゃ」
「といっても、君はツキちゃんとそこまで歳も変わらないやろ」
「そうだけど、このままじゃツキちゃんがかわいそうよ」
こういうくらいの会話ができたらいいのに。
はあ、とため息をついてしまった。
「そろそろ一年やろ？ 大事な日やん」
そう。初めて迎える記念日だからこそ、俺はツキに何かをしたかった。
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鯉口(プロフ) - 雪姫さん» 感想と指摘ありがとうございます！ (2020年3月28日 13時) (
レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - はじめまして。鯉口様の小説は何時も面白くて大好きです。作品これからも、投稿頑張って下さい。後、梅の花が咲く前にの6ページ、とりあえず単語がとりあいずになっておりましたのでご確認お願いします。 (2020年3月28日 11時) (レス) id: ef862af7e8 (このIDを非表示/違反報告)
鯉口(プロフ) - 音羽リンさん» コメントありがとう！泣いてくれたなんて、嬉しい感想です！ (2020年2月4日 20時) (レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
音羽リン(プロフ) - 泣いた (2020年2月4日 20時) (レス) id: bd02fe3886 (このIDを非表示/違反報告)
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