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❁⃘
あのあと、ひとらんらん様は大分遅い時間帯に家に着いた。
雪が降る前で良かったと思うのと、心配していたのに、という気持ちが募る。
それからというものの、彼は仕事を終えて家に着くなり、いつも通りの夕餉を済ませたあとに自室に籠もるようになった。
理由は聞けなかったが、仕事だろうか、と思った。
さすがに一年も一緒にいたら分かる。
いつもの無表情がどこかこわばっていて、難しいことを考えるお顔になっていた。
(なにかあったのかしら……。聞くべき……？)
「あの、ひとらんらん様、どうか、なされましたか？」
「――！ い、いや、なんでもない」
「そうですか……。あまり無理はなさならいでくださいね」
「うん」
それでも彼の表情は変わらずに、また今日も自室へ行ってしまった。
(寝る時間も惜しんで、そんなに忙しいのかしら)
(危ない、また怖がられるところだった……)
仕事部屋に籠もって数日。
フタバからの提案によって俺の寝る時間は少し減った。
さすがに仕事に障りがでないようにはしているけど、時間が足りるかどうか……。
「いや、めげるな俺。お前ならやれる」
記念日まではまだ一ヶ月ちょっとある。
しかしそれでは間に合わないのだ。
それは彼女との心の距離の問題もあるけれど、それだけじゃない。
「まだ梅は咲いてない……。頼むから咲かないでくれよ」
庭に植えてある花梅はまだ開花していなかった。
もう二月だから、十分咲きごろではあるが、今年はどうやら遅咲きらしかった。
この地方は一等冷えるから東京よりも遅いのかも知れない。
俺はこの梅の花が咲く前になんとかしてツキとの誤解を解きたかった。
だから、咲かないで欲しいのだ。
ツキが床につく時間まではまだある。
明日も早いから時間を無駄にしていられない。
また、明日もオスマンの家に寄るから、帰りが遅くなってしまうけれど、今はまだ許して、ツキ。
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鯉口(プロフ) - 雪姫さん» 感想と指摘ありがとうございます！ (2020年3月28日 13時) (
レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
雪姫 - はじめまして。鯉口様の小説は何時も面白くて大好きです。作品これからも、投稿頑張って下さい。後、梅の花が咲く前にの6ページ、とりあえず単語がとりあいずになっておりましたのでご確認お願いします。 (2020年3月28日 11時) (レス) id: ef862af7e8 (このIDを非表示/違反報告)
鯉口(プロフ) - 音羽リンさん» コメントありがとう！泣いてくれたなんて、嬉しい感想です！ (2020年2月4日 20時) (レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
音羽リン(プロフ) - 泣いた (2020年2月4日 20時) (レス) id: bd02fe3886 (このIDを非表示/違反報告)
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