その言葉に救われる ページ20
少し待っていてください。
そう言って私は席を外した。今更気づいたのだが、流石に私の部屋に招いておきながらお茶の1つも出さないなんて失礼すぎる。
滅多に使わないオシャレなティーセットを棚から引っ張り出した私は、先日仕事の依頼人からお礼として貰った高めの紅茶を入れてみた。
…あぁ、なんで今まで紅茶の入れ方くらい練習しておかなかったんだろう。もっと上手に入れられたら、素敵な女性だと思って貰えたかもしれないのに。
『これ、よかったらどうぞ』
「ん、御気遣いありがとうな。いただくわ。」
ドキドキしながら彼にカップを手渡す。
申し訳なさそうに眉を下げる彼に、また心臓がうるさくなった。
顔に熱が集まる。
あぁ、汗がすごい。こんな気持ちになることなんてあるのね。彼の一挙一動にこんなに緊張してしまうなんて。
緊張で酷く喉が渇く。
あまりにも喉が渇いたから、私も直ぐに自身のカップに入れた紅茶に手を伸ばして―――
「―――飲んだらあかんよ」
そのカップを叩き落とされた。
『…えっ、』
「毒が入っとる。即効性の毒やな。…ジャングルの奥地で生息しとる毒蛇から抽出された毒を加工して作ったやつっぽいな…」
『ど、毒…？』
「俺だけやなくてあんたの紅茶にも入っとるから、元々の狙いはあんたやったんやろ。…これ、誰かからの貰いもんやな？」
『は、はい…』
「すぐに捨て。多分全部に毒が入っとるで」
一瞬で変化する室内の空気。ピリピリとした張り詰めた空気が私の肌を刺す。
ひゅっと飲み込んだ空気は、酷く冷たかった。
まさかの事実に先程とは違う意味で汗をかく。
彼に言われた通りに私が慌てて茶葉を集めてゴミ箱に入れると、少し安心したように彼は小さく息を吐いた。
あと一歩で死んでいたかもしれないという衝撃の事実に血の気が引く私。
しかしそんな私とは反対に、彼は案外冷静だ。
何かを考え込むかのようにブツブツとつぶやく彼の足元で、イフリートは大人しくおすわりをしている。
こんなときでさえ、この犬は随分の大人しかった。
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ここ - htrn難民です…いやぁ…最近涙もろくなったかもしれないです… (2022年5月23日 0時) (
レス) @page17 id: 89e416f6d5 (このIDを非表示/違反報告)
鯉口(プロフ) - 彗月さん» コメントありがとうございます！喜んでいただけたら嬉しいです！！ (2021年1月31日 16時) (レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
彗月 - niさん難民です…。こんな企画があったなんて！重宝させていただきます。 (2021年1月31日 11時) (レス) id: dea094a662 (このIDを非表示/違反報告)
鯉口(プロフ) - あまいひとさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてこちらも嬉しいです！ (2020年9月5日 18時) (レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あまいひと - rnrn難民です、、。ヘッダーからも消えて死にそうだったので嬉しいです、、。ありがとうございます(昇天) (2020年9月5日 12時) (レス) id: e438e75949 (このIDを非表示/違反報告)
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