その言葉に救われる【ni】 ページ18
私が初めて彼を見た時の印象は、「どこか儚い人」だった。
淡く優しい紫色のストール。
空に溶けるタバコの煙。
ストールの色を映し込んだような優しくて寂しげな綺麗な瞳。
太陽の光を浴びながらも尚白い彼の肌でさえ、彼独特の不思議な雰囲気を醸し出す原因の一つであった。
真っ白な大型犬を引連れて店頭に立ちすくむ彼に、思わず声をかけたあの雨の日。
雨に打たれてそのまま消えてしまいそうな様子の彼に、私は焦燥のような不安のような言いしれない感情を抱いてしまった。
本当は部外者を通しては行けない部屋に見ず知らずの彼を招き入れて、タオルや飲み物を手渡していく。
戸惑いつつも嬉しそうに笑う彼に、胸が締め付けられるような感覚がしたのだ。
「すまんな。…ありがとう、助かった」
『い、いえいえ！気にしないでください！』
イフリートもお礼を言えよ。なんて優しい声でわんちゃんを撫でる彼。
―――貴方、イフリートって言うのね。素敵な飼い主さんに恵まれて幸せねぇ。少し、ちょっぴり羨ましいわ。
そうイフリートの頭を撫でると、その子は瞳を細めて満足気な顔をする。
少しだけくすんだ色の首輪には、黄緑色の文字が刻まれていた。
『……ZOMU？』
「ん？あぁ、こいつ、知り合いの犬やからな。今は俺が預かっとるんや」
『へぇ、そうなんですね』
少し鼻につく火薬の香り。机の上に散らばった書類を軽く纏めつつ、私は彼に席を譲る。
興味深げに大量の書類を見つめる彼に、私は曖昧にはにかんだ。そっと彼の目に届かないところに書類を移動させつつ私も彼の前に腰を下ろす。すると、ワンと小さく鳴いたイフリートがすうっと目を細めた気がした。
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ここ - htrn難民です…いやぁ…最近涙もろくなったかもしれないです… (2022年5月23日 0時) (
レス) @page17 id: 89e416f6d5 (このIDを非表示/違反報告)
鯉口(プロフ) - 彗月さん» コメントありがとうございます！喜んでいただけたら嬉しいです！！ (2021年1月31日 16時) (レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
彗月 - niさん難民です…。こんな企画があったなんて！重宝させていただきます。 (2021年1月31日 11時) (レス) id: dea094a662 (このIDを非表示/違反報告)
鯉口(プロフ) - あまいひとさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてこちらも嬉しいです！ (2020年9月5日 18時) (レス) id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あまいひと - rnrn難民です、、。ヘッダーからも消えて死にそうだったので嬉しいです、、。ありがとうございます(昇天) (2020年9月5日 12時) (レス) id: e438e75949 (このIDを非表示/違反報告)
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