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【4】帰還 ページ25




 数日後の夕方。
チーノは今日分の巡回の報告書を片手に廊下を歩いていた。
秋の夕暮れは一層鮮やかで、廊下の床にもその強い光は差し込んだ。





 その夕暮れに一寸目を奪われながら、チーノはグルッペンがいる書斎に急ぐ。
すると、向こうから誰かがこちらの方へ歩いてきていることに気づいた。
 白い軍服の兵士。それは海軍の制服であった。





「お疲れ様です。ひとらんさん」
「ああ、チーノ。お疲れ様」




 白い軍服の彼は、海軍大臣のひとらんらんだった。



珍しく軍帽を脱いで、制服も少し着崩れていた。
いつも身なりを整えている彼が、そのような恰好をしていることは珍しかった。




そして何より――。







「あなたが怪我なんて、滅多にないですよね」




 ひとらんらんが手負いになっているのは、滅多にない。
元々海軍は、宝石化してからはほとんど機能を失ってしまったが、まだ組織は存続している。




 一度、海の方向から月の人が襲来したことがあり、その監視として今は存在しているが、ほとんどが陸軍に移動し、海軍の人員はかなり減ってしまった。



それだけ、海での戦闘は稀なのである。
この帝国の海の面積が小さい、というのも理由の一つだった。





 そんな海軍が、今日は数月ぶりの戦争があったらしかった。
チーノも報告だけは聞いていたが、海軍の戦争はいつも撤退からの反撃だったため、怪我人は少なく連れ去られる兵士も少ない。





だから、陸軍よりは大丈夫な方なのだろう、と思っていた。





「ちょっとね。今日の戦争は少し失敗しちゃってさ」
「え、誰か持って行かれたんですか」
「いや、全員無事だよ。いつもより怪我人が多かったんだ」
「そうだったんですか……。
あなたが怪我なんて、みんなびっくりしますよ」






 ひとらんらんは、兵士の中でもきっての強者だ。




 剣士としての腕が良く、彼に斬れないものなどないのではないか、と評されるほどの腕を持っていた。





 チーノは、幹部の中でも強い兵士であるひとらんらんが、怪我をしていることにとても驚いていた。



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鯉口(プロフ) - あきらさん» コメントありがとうございます!最初の注意事項の項目を読んで察していただけると幸いです (2022年7月20日 0時) (レス) @page1 id: ad6d0057cd (このIDを非表示/違反報告)
あきら - 宝石の国、、、、?あっいつも見てます頑張ってください (2022年7月19日 18時) (レス) id: 59a8197af5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鯉口 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年5月17日 0時

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