溺愛！？ (ページ2)

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１話ページ2

心地よい風が入ってくる窓際。
「きゃ～!!」
女子達の黄色い声で、夢から覚めた。
今日はすごくポカポカしててぐっすり熟睡できると思ったんだけどな...。
というか何事!?
「あ、やっと起きた？おはよ」
この子は澤沢静乃。幼稚園からの幼なじみ。可愛くて、人形みたいに色白いから、男子からモテている。
って...じゃなくて...!!
「静ちゃんっ、これ何事!?私の睡眠邪魔されたっ!!」
「え、勝手に寝てたのは愛でしょ？...ま―たモテてるわ」
え？
静ちゃんが指差す方向に目をやると、女子の取り巻きの中に一人の男子が見えた。
多分身長180センチを優に超えてると思う。
成績優秀、運動抜群、容姿抜群の全てが完璧で、ファンクラブもあるという...この桜ヶ丘学園で圧倒的人気な...誰だっけ？
「えっと確か...源...こう...？」
「ふふっ、違う違う！こうって誰！」
可笑しいとでも言うように笑う静ちゃん。
え？そんなに面白かったの...かな？かなり笑ってらっしゃいますけど。
ジロッと少し睨むと、静ちゃんはごめんごめん、と謝ってきた。
絶対ほんとに思ってない!!バレバレなんだからね!?
「悠真だよ、源悠真。あんなに人気なのに名前間違えられるって...愛すごいよ!?...いい意味で！」
悪気は多分ないんだろうけど、何故だろう...殴りたい衝動に駆られてるのは私だけ？
「きゃ～源様～」
え...まさかの様付け!?
再び源くんに目をやると、当の本人は慣れた様子で、周囲の女子達に微笑んでいる。
「あのっ、今日実はお弁当作ってきたんですっ｡よかったら一緒に...」
「何言ってんの!?１年は黙ってなさいよ!!ここは私達３年の大先輩がすることなの！」
それは...学年とか関係ないのでは？
というかすごいな。源くんって学年関係なく、年下でも年上でもモテるんだ...。そりゃあそうか、ファンクラブまであるんだもんね。
「そういえば静ちゃんってイケメンに目がないでしょ？源くんってタイプだったりするの？」
思ったことを口に出すと、静ちゃんは予想とは違い、顔をこれでもかと歪めた。
「...は？アイツ？ないないない!!レベル高すぎだって！後顔好みじゃないし？」
「そ、そうなんだ...」
レベル高すぎるって...それは静ちゃんもでは？
なんて言葉は飲み込んだ。
「それに女子達全員に愛想よく微笑むとか、絶対裏ありそうだし」
「そう...なのかな？いい人そうだけど」
「もうっ、愛ったら人を疑うことしないよね。純粋っていうか...」
何やら呟いてるけど無視した。