斜陽2【中原中也】

第92話 ページ42

貴女side





芥川｢簡単な事。その人虎には闇市で70億の懸賞金がかかっている｣


太宰｢それは随分と景気のいい話だねえ｣



芥川｢探偵社にはいずれまた伺います

ポートマフィア必ずその70億を奪う｣




太宰｢では武装探偵社と戦争かい？


……やってみ給えよ。やれるものなら｣




芥川｢……ﾌﾝ｣



貴女｢……｣




太宰｢そうなる前にA。


こっちに来るんだ｣



貴女｢いいえ｣



芥川｢幹部を誑かすのはやめて頂きたい｣



太宰｢芥川くんはAにご執心かい｣



芥川｢否。貴方が抜けた幹部の席がようやく埋まりポートマフィアの均衡が保たれつつある


それを太宰の名でまた崩される訳にはいかぬ｣




太宰｢Aがボスを暗殺するかもしれないのに？｣



貴女｢な、｣



芥川｢そうやって我々に不信感を抱かせAを探偵社に入れる気でしょう


中也さんを羊から引き抜いた時のように



行くぞ。｣





先に歩き出した芥川に続き歩を進める





太宰｢A。｣



貴女｢……｣



太宰｢探偵社は君を諦めない｣



貴女｢………兄さんではなく、探偵社が、ですか。｣




黙って振り返れば驚いた表情だった




太宰｢…そんな顔、するの｣



貴女｢何がです｣



太宰｢私が諦めないのは当然。


何故なら私達はこの世でたった一人の家族なのだから｣



貴女｢………｣






再び背を向け歩を進める






貴女｢……兄さん。






私は家族が増えました。｣






芥川｢何をしているA。｣



貴女｢今行く｣







太宰｢・・・｣

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