斜陽2【中原中也】

第91話 ページ41

貴女side





玉砕と思われた突っ込みは黒獣をすり抜け


樋口の銃を拾った





だが





芥川｢空間そのものを喰い削った。槍も炎も空間が断絶していれば僕まで届かぬが道理。｣




敦｢そんなっ…｣




貴女｢……樋口、下がろう｣





芥川｢そして僕…約束は守る…！！｣




樋口の腕を引き人虎から距離をとる



その瞬間羅生門が人虎の足を喰らった





敦｢うわぁああああああああぁぁぁ！！｣





貴女｢殺すな｣



芥川｢分かっている。｣



貴女｢首領なら足を繋げられるだろうか｣



芥川｢知らぬ｣





樋口｢芥川先輩！！｣




樋口の声をかき消すように人ならざる声が辺りに響く




壁に捕まる人虎が唸り声をあげた




喰われたはずの右足は再生され完全に白虎の姿へ変わる





芥川｢そうこなくては！！｣




貴女｢樋口、私の近くへ｣


樋口｢は、はい｣




巻き込まれないようバリアを展開する





白虎と黒獣がこんな狭いところで暴れては簡単に巻き込まれる





樋口｢芥川先輩！！｣



貴女｢大丈夫、少し落ち着くんd＿＿＿｣





前に出ようとする樋口の腕を引こうとした時




ふわりと長身の影が横切った






太宰｢はーい、そこまで｣



『人間失格』




芥川｢だっ太宰さんっ｣



貴女｢兄さん、｣





白虎と羅生門が簡単に消される





太宰｢久しいね、愛し妹よ｣


貴女｢…｣


太宰｢幹部に上がって二年の幽閉。大変だったね｣


貴女｢幽閉ではありません｣


太宰｢察しがつくよ。異能の強化にあの幹部を使ったね？｣


貴女｢……そもそも何故それを知って｣


太宰｢私は探偵社だからね。君の事はなんでも知っておきたい｣


貴女｢……｣


太宰｢地下にいたんだ。そりゃ探偵社が血眼になって探してもみつからない訳だ｣


貴女｢探偵社には入りません｣


太宰｢私もマフィアには戻らないよ｣





ピリピリとした空気が兄妹を包む





太宰｢…はぁ。


ほらほら起きなさいよ敦くん

三人もおぶって帰るの嫌だよ私｣



樋口｢生きて返すと思っているのか！


芥川先輩！太宰さん！チャンスです｣




貴女｢……｣



樋口｢太宰さん？｣



芥川｢…やめろ樋口。お前では勝てぬ｣



樋口｢芥川先輩まで…｣





そう



私と芥川は動かない




芥川｢…太宰さん。今回は引きましょう

しかし。人虎の身柄は必ず僕らポートマフィアがいただく｣



太宰｢なんで？｣

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