斜陽2【中原中也】

第89話 ページ39

貴女side





芥川｢二年と云えど共に過ごせた時間はたった数日だ｣



樋口｢だから中原幹部も電話を…｣





芥川と樋口が何か話している間も



私は携帯の画面を眺めていた




│中原中也 4:29 通話終了│




かかって来るのが待ち遠しい





芥川｢何時まで浸っている気だ。｣


貴女｢浸っていない。そして何故泣いている、｣


樋口｢健気で初々しいお二人に感動してしまいっ｣



芥川｢うるさい樋口｣


樋口｢すみませんんっ｣



芥川｢探偵社はすぐそこだ


ここからはお前一人で行け｣



樋口｢はいっ｣



芥川｢先の袋小路に追い込んだら連絡しろ｣



樋口｢了解しました｣




顔つきを変え探偵社に向かった樋口を見送る




芥川｢僕らは顔を見られる訳にはいかぬ


離れるぞ｣



貴女｢分かった｣





＿＿＿＿＿



＿＿＿





芥川｢………それで、斜陽は如何程になった｣


貴女｢だいたいの異能は取り込める。

発動も出来るが力が大きければ大きいほど反動も大きい



使い方次第だ｣



芥川｢羅生門は｣



貴女｢出来れば使いたくない｣




重力操作同様、体が持たない




芥川｢だろうな。僕の異能であればそうこなくては｣



貴女｢よくあれを扱える…。中也さんも芥川も尊敬する｣



芥川｢………｣



貴女｢…なんだその目｣





切れ長の瞳が大きく開く




芥川｢……地下で頭でも打ったか｣


貴女｢本当に失礼だなあなたは｣


芥川｢無礼をはたらいた覚えは無い｣


貴女｢そういう所が｣




prrrr





貴女｢っ｣




芥川｢…残念だったな。中也さんじゃない｣



貴女｢…別に｣



芥川｢顔に描いてある。｣





電話に出た芥川の背を向け顔を触る



そんなに顔に出ていただろうか、





芥川｢…では。｣



貴女｢なんて｣



芥川｢人虎は生け捕り、と念押しされた｣



貴女｢刻み捨てるなんて云ってるからだ｣



芥川｢黙れ｣



貴女｢首領は私を芥川のストッパー的役割も兼ねて組ませたのかも｣



芥川｢黙れと云っているのが聞こえぬか

その耳、飾りなら切り落とす｣



貴女｢そういう所だって暴走癖｣



芥川｢貴様っ…｣





prrrr




樋口｢芥川先輩。予定通り捉えました｣

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