斜陽2【中原中也】

第79話 ページ29

貴女side





貴女「…二人ならって」



芥川「僕の羅生門のみならず…

貴方に通用する異能など、」




太宰「異能はね。


だが異能者が二人。そのうち一人はポートマフィアきっての体術使い、中原中也の部下だ。


隙を作り出す事くらい出来る」




貴女「いくら体術があるとはいえ

私の異能は戦闘向きじゃない…無理です、離してください」



太宰「何を云っているんだいA。」



貴女「何って…私の異能は無効化で羅生門のような殺傷能力は」



太宰「君の異能は無効化だけじゃない」



貴女「…どういう、」



太宰「まだ気づいていないの」




ため息を着いた兄の口から発せられる言葉はいつも予想を超えるものだ




太宰「君の異能は無効化ではなく取り込みだ。」



貴女「…取り、込み？」



太宰「無効化で取り込んだ異能を扱える最恐の異能者。

無効化だけでマフィアに入れる訳ないだろう」



貴女「待ってください、」



太宰「私のようにすぐに無効化せず徐々に無効化していくのは

取り込むのに時間がかかっているからだ


触れている時間で左右されているのもそのせい。」




唖然とし抵抗する力が無くなる




貴女「嘘です、私は他の異能を使えたことなんて、」



太宰「羅生門に重力。どれも力が大きすぎる。


それで扱えなかったのと、頭で理解していなかったからだ」




貴女「そんな、」


芥川「莫迦げた力だ…」




貴女「何故兄さんはその事を知って…」



太宰「私が一番最初に取り込まれたからだよ」



貴女「っ」



太宰「幼少の頃、君と戯れていた時に


突然斜陽は発動された。それが初めての発動だった。


なんの異能か分からない私は驚いて咄嗟に人間失格を出した。


その時、君が無効化を取り込んだ」




芥川「…取り込む時に無効化なのはそれ故か」




太宰「その通り。斜陽発動の基盤となる異能無効化は


私の人間失格を土台にしている。」



貴女「……」



太宰「もし最初に取り込んだのが羅生門だったら羅生門が喰らったものを取り込んでいただろう」



芥川「太宰さんを超える力か、A。」



貴女「私…そんな力は」



太宰「今までに羅生門と重力以外無効化しなかったのかい」



貴女「………バリアのような異能を」




太宰「それを思い出しながら斜陽を発動してみ給え」




貴女「…………」





兄さんから解放され行き場の無くなった手を見下ろす




バリアの異能………







太宰「できるじゃないか」

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