違った道の隻眼女7【坂田銀時】

第333話 ページ34

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貴｢てめぇがいると話が進まねぇ｣




銀時｢すみませんでした｣






俺を蹴り倒した女は窓辺に肘をつき




手が届きそうなほどでかい月に煙をはいた







銀時｢……なんとまぁ立派な満月だ…｣




貴｢…あァ｣







隣に立てば相変わらず小柄だ






銀時｢……｣



貴｢…今度はなんだ｣







俺がこの部屋に来てから



一度だって目が合わない







銀時｢……A。｣




貴｢、｣







文字通り花魁顔負けの端正な横顔で




髪で顔を隠されようとも




真っ赤な耳が俺を綻ばせた






銀時｢…なぁ｣



貴｢…｣



銀時｢あの時の約束…


覚えてっか｣




貴｢…｣




銀時｢…全て…終わったら。

俺から伝える。｣




貴｢…｣






銀時｢俺たちの戦いはこれからだ。


……でも、



俺とお前の戦いは、終わったんじゃねぇか…？｣





貴｢…、｣








合わない目でも





あの冷たい目はしていない







銀時｢……A。



あの時お前は俺に、触るなと言った｣




貴｢…｣





銀時｢いいのか。今なら俺の手が届くところに


お前はいるぞ。｣




貴｢…｣







俯く顔はあげられない







銀時｢A、｣




貴｢私は｣




銀時｢…｣




貴｢私は……


もう機嫌の治し方も



目の合わせ方も分からないさ…｣







再び月に消えていった煙のように




静寂に消える声






その一吸いが最後だったのか煙管はしまわれた







銀時｢…たく…。


ガキなのは身長だけにしとけよ｣




貴｢あァ？っ＿＿＿＿｣







眉間に皺を寄せたそいつの




顎をつかみ自分の方へと向ける






銀時｢目。合ったな。｣






これでもかと言うくらいに開く深緑の瞳に






俺が映っている







貴｢ぎ、ぎんと、き…｣





銀時｢ん｣






やっと名前聞けたってのに





貴｢は、離せ…｣




銀時｢触るな、じゃねーんだ？｣






真っ赤な顔で視線を逸らす






銀時｢なァ。


この唇に…一体どれだけの男が触れたんだ…｣




貴｢は、…｣






すぅっと親指でなぞるが





銀時｢ｷﾞﾘｯ｣






想像しただけで反吐が出る






銀時｢お前は俺のもんではなかったが



他の野郎のもんになっていいわけでもねぇ｣





貴｢ぎ、銀時…ま、｣





銀時｢覚悟しろ｣

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