しんしょく (ページ11)

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しんしょくページ11

そして帰る日がやって来た。

「お姉ちゃん、ちょっといい？」

襖越しに声を掛けると布団のずれる音が聞こえた。

「・・良いわよ。」

審神者部屋に入ると半裸のお姉ちゃんと一振りの刀があり、嗅いだことのない独特の臭いが部屋を充満していた。

「実はさ、あのお父さんが危篤なんだって。

でもお姉ちゃんは審神者の仕事があるでしょ？だから私だけ帰ろうかと思ってるんだ。」

「どのくらい滞在するの？」

「まぁ一週間ぐらいじゃない？」

帰ること前提かよ、多分帰らないよアデュー。

「分かった。あんたは現世に帰って。

但し十日を超えて滞在しないこと、良いわね？」

何故そんなことを言うのか分からなかったが取り合えず頷く。

何、約束は破るためにある。

「約束は破らないようにね。」

お姉ちゃんの声は聞こえないふりでやり過ごす。

これで私は自由の身だ。

「私はちゃんと言ったからね。」

部屋で帰り支度をしていると急に寒気がした。

体は結構丈夫な方なんだが風邪のひき始めか？

「念のために帰ったらお医者さんに掛かるか。」

彼処のおじいちゃん先生、見立ては良いんだけど話が長いんだよなぁ。

(きっと長くは居られないよ)

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