英くんが今日も愛しい【国見英】

57.ありがとう ページ23

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「おかえり……ぅおっ」

『ただいま…』



全力で仕事を終わらせて定時で意地でも帰った。

後から英くんに聞いた話では、
「3人くらい埋めてきました」って顔してたらしい。


私そんなんでよく職質されなかったよな。



「おつかれさま」

『うわぁん英くん〜〜つかれたぁ〜！』



柄にもなく勢いよく抱きつけば、
嬉しそうにしっかりと受け止めてくれる。



『んっ、何この匂い？』

「アッ待っ_________…」



焦げ臭い。

何故か制止しようとする英くんを振り切って
リビングに踏み込めば、



『おー、盛大に焦げてんねー』



まっくろくろすけのハンバーグ(多分)。

っつかこの子要領いいのに料理失敗すんだ。
可愛いかよ一生養う。

笑って言えば英くんは申し訳なさそうな顔をして、
私に後ろから抱きついてきた。




「頑張ってはみたんだけど…ごめん…」

『ん、ふふ…英くん私お腹すいた！食べよ！』

「エッ でもコレ焦げてるし」

『Aさまに任せなさい〜』




いいんだよ、英くん。
頑張ろうとしてくれたその気持ちが嬉しいの。

ある程度コゲを削ぎ落として、
冷蔵庫で放置されてたパプリカに肉を突っ込む。

ソースも少し濃い目に味を整え直せば、



『ほーら、もう焦げてない』

「……すご」

『英くん、ありがとうね』



お皿に盛り付けて英くんに言うと、
不思議そうな顔で見られた。



「…え、俺は何も…」

『生まれてきてくれてありがとう。
1日早く言いたくなっちゃったのは英くんのせいだからね』



そう言うと英くんは、
嬉しさと疑問の入り混じった不思議な顔をした。


…可愛いなぁ。ほんとに可愛い。



パプリカで誤魔化したとはいえ少し苦いハンバーグ。
今まで食べたどんなハンバーグよりも美味しかった。


お風呂に入って、狭いベッドで抱き合って眠る。


艶々とした黒髪を撫でると、くすぐったそうに身をよじる。



『…すき』

「……俺の勝ちだ」




頬に英くんの手が添えられて意味不明な発言に首を傾げると、
額にちう、と強めに吸い付けられた。




『っ、何が…？』

「…俺はAさんのことだいすきだから。
　俺の方が、すきが大きい」

『ふふ、何それ意味わかんない』




勝ち負けじゃないんだよ、愛の大きさは。


形のいい唇にキスをすると、
不意をつかれたのか真っ赤になって悔しそうな顔をする。



あぁ、英くんが今日も愛しい





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☆終わり_________！




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