cafe au lait (ページ22)

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列が出来ていなくてすぐに入れるから、という理由で選んだ、クラシカルで可愛らしいカフェ。周りのカラフルなお店と比べてしまうと随分と落ち着いて見えるけど、たくさんの色ときらきらした女の子で溢れている空間よりも、私には魅力的に見えた。

「で、Aちゃんの悩み事は、なに？」

樹くんは頬杖をついて、言ってごらん、なんて私の目をじっと見つめてくるから、思わず視線を外す。

『…悩みなんて、なんにもないよ？』

「だからそれは嘘じゃん、って」

『…強いて言うなら、この状況、
どう過ごしたらいいんだろうって悩んでるかな』

「え、もしかしてまだ怖い？俺って怖い？」

『…ふふ、怖いかも』

「ねぇ、笑ってんじゃん！」

『ピアスとか、髪色とか、…なんか、派手？』

「それ見た目だよね、見た目だけだよね？」

『……うん』

「俺、見た目のわりに怖くないと思うよ？」

『…うん、知ってるよ』

「うわなんか、キュンときた今の」

『…ええ？なにそれ』

話し上手は聞き上手、とはよく言ったもので。

いつも学校でするように、樹くんから発せられる優しいボールをなんとなく返す。そんな会話を続けていたら、頭の中だけで考えていたはずのことを、つい口に出してしまっていた。

『…でも、見た目で判断されるの、嫌だったよね』

「…え？」

『自分がされて嫌なくせに、…ごめんなさい』

「や、俺はそういうの慣れてるから全然…」

『…』

「…やっぱ何かあったんじゃん
…思ってること全部言ってみ、すっきりするよ」

私はそんな樹くんの言葉に絆されて、気づいた時には、さっきまで頭の中を占領していた想いをそっくりそのまま話してしまっていた。

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