６７話 ページ23
桜哉said
「あ、桜哉君おはよ！」
「･･････はよ。」
朝、教室に入ると、楯野がいつものように挨拶をしてきた。
「ねえ、大丈夫？」
「え、何が？」
「ほら、昨日の部活でいきなり帰っちゃったから、何かあったのかなって。」
「･･････別に。ちょっと用事思い出しただけ。」
「そっか。」
「･･････。」
“好きな奴がいるんだってさ。”
楯野の顔を見ると、無意識に思い出される昨日の広岡の言葉。
“菜々花の性格からして仲良い奴だと思うぜ？”
誰にでも愛想良く接する楯野だが、特に仲の良い人はそんなに多くないはずだ。
村本さん、上杉、広岡、俺･･････。
「･･････。」
･･････入れていいよな。楯野の仲良い人リストに、俺も入れていいよな。
広岡がフラれたとなると、これはもしかしてもしかするのだろうか。
･･････なんて、さすがに飛躍しすぎか。
楯野の好きな人は仲が良い人の中にいるというのは広岡が言ってるだけだし、
そもそも楯野に好きな人がいるって事自体も広岡が言ってるだけなんだから。
「ねえ桜哉君。ミュージカルって好き？」
一通り思考を巡らせたところで、楯野が声をかけてきた。
「ミュージカル？」
「うん。昨日の部活で、今年の夏の大会で何演るかちょっと話し合ったんだけどね。」
「夏の劇は文化祭でも演るから、みんなが楽しく見られるのがいいよねってなって。」
「去年はコメディだったから、今年はミュージカルなんてどうかなってなったの！」
「･･････俺裏方で。」
「えー！何で!?桜哉君が歌って踊ってるの見たいのに！」
「それが嫌なんだよ！」
「まあそう言うと思ったけど、男子少ないから拒否権ないと思うよ？」
「･･････俺、大勢の前で楽しげに歌って踊ると呪われる家系に生まれちゃったから無理。」
「ふふふ、はいはい。」
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作者名：鈴蘭姫 x他1人 | 作成日時：2017年3月19日 10時
