５４話 ページ17
太宰side
奏くんが消えて約一ヶ月。私はあえて奏くんを探さなかった。
もちろん探したかったが、それは彼女のためにならない。
そう勝手に解釈して過ごしてきた。
だが、何故か。今日は少しあの路地裏の前を通りたくなった。
太(どうせいるはずないのに)
そう思いながら私は静まり返った街を歩いた。
もうすぐ路地裏に着く、そんな時。
「ニャー」
私の足元に一匹の黒猫が擦り寄ってきた。
太「おや、どうしたんだい？」
しゃがみながらその猫に手を乗せようとすると、その猫はスルリと私の手を抜けて、
路地裏へ私を誘った。
かすかに月明かりで見える道に不安感を覚えながら私は黒猫を追った。
所々に残る血痕に焦りを抱きながら、いや、そうではないと信じながら。
太(あの角を曲がれば・・・・)
奏くんと初めて会ったあの隠れ家。
月に照らされて歌うあの子は、
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿赤い血だまりに倒れていた。
太「＿＿＿！！奏くん！！！！」
慌てて駆け寄り、体を起こす。
冷え切った体。血でまみれた髪の毛。青白い顔。そして
＿＿＿＿抉られた腹部。
太「奏くん！奏くん！！」
この時私は我を忘れたかのように奏くんの名前を呼び続けていた。
今にもこの腕の中で消えてしまいそうなか細い息だった。
太「頼むから・・・・死なないでくれよっ・・・！」
奏くんを抱え、私は探偵社に走った。
この時間なら与謝野さんもまだ残っているはずだ。
太「頼むっ・・・間に合ってくれ」
黒猫は二人を悲しげな目で見送り
風は太宰の背中を押した。
まるで、奏を助けるかのように。
勢いよくドアを開ける。
太「与謝野さん！！」
与「太宰かい。どうしたんだこんな時間・・・に・・・・」
与謝野さんは奏くんを見て目を見開いた。
太「早く・・・奏くんを・・・！！」
与「早くこっちに！！」
与謝野さんに言われるがままに奏くんを手術台へおろす。
私は一旦出るようにと言われたので部屋から出た。
なぜ奏くんがあんなことに・・・・
なぜ私はもっと早く行かなかった・・・
なぜ・・・なぜ・・・
そんな考えで頭がいっぱいになった。
あの傷はただの怪我ではない。確実に誰か異能力者に襲われたはず。
だとしたら・・・・
太「芥川くん・・・・？」
私は奏くんを待つあいだ、思考を巡らせた。
続く (更新停止中)
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蛍(プロフ) - とても面白いです！更新、無理せず頑張ってください！ (2019年9月16日 15時) (
レス) id: b6ee0e20db (このIDを非表示/違反報告)
涼水蓮 - あの、すごい好きです!更新待ってます!! 結構前の小説なのに今ごろすみませんm(_ _;)m (2018年7月13日 14時) (レス) id: e5ae371d78 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 神子さん» ありがとうございます！ (2017年2月11日 0時) (レス) id: bdd5f3b0a6 (このIDを非表示/違反報告)
神子(プロフ) - 楽しみにしています( *´艸｀)夜遅くに失礼しました！ (2017年2月11日 0時) (レス) id: ee281f99d8 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 神子さん» わぁぁぁ(´｡тωт｡`)ありがとうございます！！本当に長らくお待たせしてしまってすみません...。これからも宜しくお願いします...！ (2017年2月11日 0時) (レス) id: bdd5f3b0a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零 | 作成日時：2016年7月13日 21時
