１２，チアキの本心 ページ13
ユ「おっはよ〜！」
カ「おはよユカ。遅いよ！」
「ほら、早く手伝って？まだ庭の整備、終わってないんだから」
ユ「ちょっと・・・足腰痛くてさ！」
カ「またまたぁ！何をお婆ちゃんみたいな事を〜」
何気ないようで、何気なくもない会話。
普段なら肩こりと眼精疲労の頭痛しか無いから、筋肉痛の話はめったに無い。
１日の始まりが筋肉痛だなんて、こんな最悪な状況、他に無いだろう。
チ「あ、ユカ・・・おはよ！」
ユ「チアキおはよ〜！」
いつもと違って、会話が続かない。
それもそのはず。
だって、私は昨日、チアキを放って全力で逃げたんだから。
チ「ねぇ、ユカ。」
「昨日さ、走って逃げてさ。怪我とか無かった？」
あれだけ私を守っておいて、まだ私の心配をしてくれる。
やっぱり、何かあったかな。
聞き出すのも悪い気がするし、自然に話題を導くしかないか？
ユ「うん、大丈夫。チアキこそ、結構つらかったんじゃない？」
チ「まあね〜！」
「でも、守れたし。」
「結果オーライってことで！」
ユ「・・・あのさ、」
うん。
今聞き出そう。気になって仕方が無い。
いきなり聞き出して、何かチアキには悪いな。
チ「あ、もしかして。」
「昨日の行動とかの詳細を聞きたい感じ？」
えぇ！！？
勘が鋭すぎる。
このあたりはいつものチアキと変わらない。
ちょっと安心はしたものの、ずばり話題を当ててくるとは思っても見なかった。
ユ「・・・そう、昨日の詳細をー・・・」
「・・・ていうか、本心を・・・聞きたいんだよね」
チ「謎だったもんね〜、昨日の私」
ユ「うん。昨日の洞窟で、私が一緒に戦ってたら」
「ちょっとは結果が変わってたかも知れないってね。」
「深く、考えすぎちゃったのかな？あはは！」
チ「結果がどうとかじゃなくて・・・」
「単に言うと、『恩返し』がしたかったんだよね！」
・・・え？『恩返し』？
チ「いろんなことをユカに任せっきりだったし・・・」
「それにさ。演劇に関しても・・・いろんなことを教わったって言うかさ！」
「いろいろ、覚悟を決めたわけ。」
覚悟、かぁ・・・。
やっぱり、何かを決心してたのは間違いじゃなかった。
大学以来の付き合いだけど、そんなにいっぱい一緒にいたのかな。
私の行動が、チアキのためになっていたと思うと
なんだか嬉しいような、満足感があった。
チアキみたいに頑張らなくちゃ。
いつか、何かを守れるように。
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作者名：琴原あなご | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/debun1/
作成日時：2017年10月24日 16時
