"俺"の存在意義は

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北「お、おじゃまします...」

藤「どーぞ...あ、先に夕飯食べる？」

北「いやっ...ぅん、お風呂入ってもいい？」








『そ。何でも適当に使っていいから』
そう言って、藤ヶ谷はリビングへと消えていった。

(藤ヶ谷ん家で...風呂...//)




藤ヶ谷の家。ということに少しばかり
羞恥心を抱きながら、服を脱いでいく。

鏡に映る女の身体。



何度見ても慣れないし、胸がｷﾞｭｯと苦しくなる。







何で俺だけこんな目にｯ...

そう思っては痛む心。そして、滲む涙。



藤ヶ谷に言われた言葉も思い出してしまって
この理不尽な環境に身を置かされている状況に
至極腹が立った。









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ジャーーーー...









『誰がこんな男女好き好んでっ...』








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北「...俺だって。......俺だってそうだよ、ばか」


(好き好んで...女になったわけじゃねぇよ...)









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ニカの家での様なことは一切無く
あの時楽しんですらいたこの女の身体が
今は、忌々しくて堪らない。

こんな身体にさえならなければ
俺は今も必死に汗水垂らして、一生懸命頑張って生きていられたのに。



シャワーのお湯が滑り落ちる柔らかい肌を
思いっきり爪を立てて握り潰した。

二の腕も太腿もお腹も胸も...全部、全部全部。



爪が食い込んで、赤が滲んでも俺は辞めなかった。
辞められなかった。


(俺がこんなんで、皆の事支えられっかよｯ...)









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ふかふかのバスタオルで身体の水気を拭き取れば
白い肌に浮かぶ赤い生々しい傷痕。

男の身体にあったとしても引くぐらいのソレは
俺の心を奮い立たせてくれる。


後悔はしてない。



この傷は、俺が俺で居られる為の証なんだ。






俺は女じゃない。キ ス マ イ の 北 山 宏 光 だと、確認できる━━━━━━


俺がお前らと並んで頑張って来たことが
夢じゃないってことの、証。








定期的に増えるかもしれないその傷跡に
『よろしくな』
と、俺は頭を下げた。





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