【名探偵コナン】転生作家の心得 Act.2

73.『上賀茂愛梨の悩み　その拾参』 ページ28

それから数分で警察が来て、宮林はドローンの証拠品と共に任意同行を促された。逃走した所を別の容疑で捕まえられてしまったが。

そして、そのまま誰も会話無く、ポアロへと戻ってきた。





｢漸く家に帰れるな、愛梨。あとで荷物持って帰れよ」

私はもう必要なくなったソフトのこれからを悩みながら、そう声をかける。しかし、返事が帰ってくることは無かった。

さっきから、愛梨は黙りきったまんまだ。安室とコナンとは、このソフトの行方を話し合っている。残しときたい派の探偵達に恐怖しか覚えてない。

｢なんに使うんだよ、これ」

私が画面を指差してそういえば、覗き込んだコナンくんは考える素振りをしながらにっこりと笑う。

｢いざという時に頼るかも」

思いもよらない言葉が出た。

｢コナンくん、私に何をさせる気だ！？」

｢ひみつ」

語尾にハートでも付きそうな声音だな、コナンくん。怖いんだけど。暫くコナンとは会いたくないな。

｢先生」

パソコンを囲んで三人でワイワイしている中、愛梨は真剣な瞳を浮かべていた。

｢どうした」

私達は愛梨を見つめる。

｢宮林先生の言っていた、自分のことを優先したってのは、どういうことですか」

思わぬ副産物を持って帰ってきたものだ。愛梨の淡い水色が答えを求めていた。私は溜息を吐いた。

｢お前は私が薄情だと思うか」

私は愛梨にそう返す。彼女はいいえと答えた。

｢なら、それでいいだろ。忘れろ」

私はやっぱ消そと言いながら、おずおずと動かせば、コナンにがしりと止められた。なんで阻止する。

愛梨は近くのテーブルを叩いた。

｢無理です！いつもそうやって、一人で！何にも、誰にも話してくれない！！少しは、私を、私たちを頼ってください！」

ストーカー被害を受けたばかりの子が言うセリフではないものを愛梨は吐露した。

宮林、許さん。

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