70.『上賀茂愛梨の悩み その拾』 ページ25
「恋心の大半は、相手への好意の押し付けです。それでも、ちゃんと常識の範疇は越えない」
安室は宮林に怒りも何も篭もらない声でそう責めた。普通の人はそうは思うけど、相手の事きちんと考えてるから。一部の人間だけだから。
「あなたは、全てを間違っている」
安室の言葉に、宮林は肩を落とした。コナンはいつの間にか、愛梨の元へと行き、様子を確認している。
「何で君、偉そうなの?」
安室に対して宮林先生は、眉を跳ね上げた。笑顔が消え、怒りを浮かべている。
「僕のほしいものを持ってるから、優越感?」
的はずれなことを言い始めた、宮林先生。ストーカーとか、そういった恋愛感情の拗れを患った人間の嫌なところはここだ。
「ただ先に会っただけというのに」
自分の都合のいいようにしか物事を捉えない。それしか考えやしない。これは、犯罪者全てに共通する心理だ。
「君に説教をされる筋合いはない」
歪んだ欲に、愛梨が震えている。あの気丈な彼女が、とてもとても珍しい。
――警察に突き出してやりてぇ。
埒が明かない話は嫌いだ。
「安室も、貴方に変な想いをぶつけられる筋合いはないと思いますが。宮林先生、警察にもう話をしています。
――これ以上、恥を晒したいんですか」
私がそう後ろから告げると、彼は振り返った。瞳が翳りを浮かべて、私を見ている。親の仇だと言わんばかりに。背筋に寒気が走る。
「愛梨ちゃぁん……なんで、
―――なんで、こんな人を師匠だと敬うんだい?」
安室から怒りの矛先が、私へと変わった。殺気が痛いほどに伝わる。一般人にはちょっと涙が出そうだ。こんなんじゃ、ジンと相対した時には失神してそうだ。
絶対、会いたくないけど。迂闊に遊園地や水族館行けないレベルで恐怖だから。
「こんな人だなんて、言わないでください!!海月先生は、誰よりも凄い作家なんです!」
愛梨は震えを抑えつつも、凛とした声で、宮林先生に反論をした。
いや、宮林先生の言うとおり、こんな人だけど。
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黒井蜜柑(プロフ) - 花枝さん» ありがとうございます!本当に、長らくお待たせしてすいません!週一掲載で続けていけたらいいなと思っていますので、なるべく終了まで更新停滞がないようにがんばります! (2021年5月24日 14時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
花枝 - お待ちしておりました!おかえりなさい、これからも応援しています! (2021年5月23日 23時) (レス) id: 43f2320b1e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - きゃろさん» すいません、長らくおまたせしました!本当に更新停滞気味が多くてすいません。なるべく早くは続きを挙げたいと思いますのでもう暫くお待ちください。 (2021年4月29日 7時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
きゃろ(プロフ) - おかえりなさいです!続きが更新されてるのが嬉しくて感想を書いてしまいました!続き楽しみにしています。 (2021年4月29日 2時) (レス) id: d6911c13cc (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - 藤崎さん» 全然大丈夫です!期待に添えれるように、頑張っていきます。本当ゆっくりし過ぎですいません。 (2019年3月22日 23時) (レス) id: 16fd2908cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2019年2月14日 16時