【名探偵コナン】転生作家の心得 (ページ21)

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20.『上賀茂愛梨の不運　その陸』ページ21

飛び出してきたのはいいが、情報がない。となれば、こちらから聞き出すしかない。私は愛梨に電話をする。愛梨ならば、上手く取り次げるはずだ。

「柚だけど、母さんから伝言よ」

なるべく長く、長く会話を繋げ。すると、電話口から物音が聞こえた。ステンレス製のものが倒れた音だ。業務用の油が入っている奴みたいな音。焦っている声も聞こえてくる。

「自分で貰え」

愛梨が息を呑む音が聞こえた。

「母さんの鬼。今、東都タワーに来てるのよ？こんなに真っ赤で大きいなんて知らなかった！やっぱり友達の家が近いっていいわね！」

彼女の言葉の向こう側に、組長という物騒な言葉が聞こえたのは気のせいだよね。え、そういった類の人間に拉致られてるの？え、私無事かなぁ。

取り敢えず、なんとまぁ分かりやすいメッセージをありがとう。ある程度は絞り込める。

向こうから切るのを待つ。後は目ぼしい情報を得ることはできなかった。近くのパーキングに止めていた自車へと乗り込む。キーを差し込み、エンジンをかけると、アクセルを踏んだ。東京タワー付近へと急ごう。

＊＊

「アルファベットに、記号だぁ？」

安室はその紙を見ながら、首を傾げる。コナンもまたその手紙を考え込むようにして見つめる。

"v_a- @-x mtc"

必ずしも一度は見たことある文字ばかりだ。なにか、表しているのだろうか。ぐるぐると考えた時、スマホを眺めて、ぴくりとコナンは閃いた。

「もしかして！おじさん、こうじゃないかな！」

コナンはスマホの電源をつけ、文字を打てる状態へとする。

「フリックタイプにして、かな文字の方の文字列を覚えててね。それで、英語の方に移動させる」

コナンが言いたいことが安室は伝わり、声を上げた。

「それで、暗号を打たれてるとこの文字と、かな文字を照合すると、vは、ゆ。_はうになる。そんな調子で解読していくと、ゆうかい、あいり、はやく……え」

出てきた言葉に全員が、ぴしりと固まってしまった。

「じゃ、じゃあ愛梨さんが此処最近来てないのって誘拐されてるからってこと！？お父さん目暮警部に！」

小五郎も慌ててつつ、直ぐに電話を掛けている。コナンは険しい顔になり、それ同様に安室も同じだ。

そんな安室のスマホが鳴った。LINEの通知音だった。海月からだと表示されており、慌てて開くとそこには位置情報が送られてきていた。

「手を貸してくれるかな、小さな探偵くん」

安室はコナンにそれを見せながら、そう持ちかけた。