01.『I'm an incarnate person.』 ページ2
私は転生者だ。冒頭初めからコイツの頭は大丈夫かと尋ねられるような説明だが、事実だ。ちょっと〆切間際で頭は疲れているが至って常識人だと自負している。
人生を安定に全うして、私は眠るように逝ったのだが、起きてみればよくあるおめでとうございます!みたいな出産シーンだった。出産されたのは私だが。
と、言うわけで気づけば推理漫画を代表する少年誌サンデーの目玉、名探偵コナンの世界で二度目の人生を歩んでいる。私は前世では所謂オタクだった、コナンも好きだ。
だから言えるが、オタクの皆。早々とコナンたちに関わるものではない、寧ろ碌なことない。私はそれを小学校の時に気づき、ひっそりと暮らしている。まぁ、勿論彼らの姿は毎日見ている。ポアロの常連客になるくらいだからだ。
そういうことで、私は今ポアロの珈琲をいただきながら作品の〆切に迫られている。
ちらりとカウンター席を覗き見れば、トリプルフェイスの男に女が迫っている。それに助け舟を出しているのは、原作にはいない人間だ。彼女は私の視線に気づいたらしく、お盆を持ったまま、私の元へとやってきた。
「海月先生!サービスいりますか?」
「いらない」
パソコンと睨めっこしたまま、珈琲を飲む。やばい、眠すぎる。そして終わらない。カフェイン効果に期待して飲み続ける。因みに珈琲だけで五杯目だ。
「分かりました!安室さん、ハムサンド1つ、私の財布から」
勝手に注文をしてくるお節介店員。この女は、まるで主人公のような人間だ。コナンと同じくらい事件に巻き込まれる。そして、重要人物と関わりを持ちすぎている。しかしそれでいて、性格が酷く良いのだ。泣きたい。
「愛梨さん、財布はきちんと直してください。あと、海月さんの表情見てください、面白いですよ、あ、少し待っててくださいね」
何こいつら面倒くさい。まぁ、コナンのキャラに面倒くさくない奴がいない。っか全員面倒くさいのでは。
上賀茂愛梨。此処、ポアロでバイトをしている米花大学に通う女子大生だ。見ているこっち側とすれば、主人公だとしか言いようがない。
キーを叩けば、公式で好評のハムサンドが置かれた。私の席はテーブル席だ。
「頑張ってくださいね」
営業スマイル。私が薄目でそう認識した時、前方のカウンター席でこちらを見ていた女子大生が息を呑むような声が聞こえた。そんなに嬉しいか。まるで、アイドルを見ている様子で、阿呆らしいと視線を落とす。軽く頷くと、珈琲のカップを置いた。
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黒井蜜柑(プロフ) - トめAと@とまと:カド松さん» ありがとうございます。 (2022年5月17日 22時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@とまと:カド松(プロフ) - はい、マジ好きです応援します (2022年5月17日 21時) (レス) id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - トめAと@とまと:カド松さん» それは凄く嬉しいです。愛梨ちゃんがいてこそのこの作品なので是非とも応援してください。 (2022年5月17日 21時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@とまと:カド松(プロフ) - 夢主っぽいのがいるときいて何だ地雷か?って思ったらバリタイプだだった。 (2022年5月17日 21時) (レス) @page49 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - 目覚ましさん» そう言って、いただいて幸せです! (2018年12月14日 16時) (レス) id: 16fd2908cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2018年11月10日 22時