28.『とある大女優との会談』 ページ29
此処、安い喫茶店だよな。
お気に入りの喫茶店よりも薄いアイスコーヒーを両手に、ちらりと真正面の人物を盗み見た。
プラチナブロンドが美しい。変装用のサングラスを掛ける姿はとても似合っている。正直、その溢れでる優雅さは隠せてないし、これで隠せるものなんですかね。
薄いカフェオレを優雅に飲む目の前の、ハリウッドで引っ張りだこの大女優、クリス・ヴィンヤードもといベルモット。
決意して会ってみたのはいいが、正直このオーラに怖じ気づいている。握手して、サインしたのはいいが、私としては早く帰りたい。
だって怖いもん。
「顔出ししていなかったから、お断りされると思っていたわ」
丁寧な口調で流暢な日本語を喋るベルモット。怖いからなんて言えるわけもなく、苦笑いで返した。
「メディアに出演したくないだけなので。そちらこそ、何故私に会ってみたいと?」
私の言葉に小さく笑うベルモット。とても綺麗だと思った。
「ただの興味よ、先生。ファンだから一度でも会ってみたいじゃない。それに、高杉だってよく言ってるでしょう?」
ベルモットの言葉に私の作品の登場人物は笑う。脳内で、黒色の蓬髪が風で揺れた気がした。
「『好奇心こそ最大の武器だよ』ですかね。私自身は好奇心は猫を殺す、だと思いますけどね」
私の苦笑に、彼女は目を丸くする。そして小さく笑った。
「あら、主人公と真反対の考えなのね、先生」
ベルモットの言葉が、何故か安室を思い出させた。好奇心は猫を殺す、そう思ってるのに何故か私の登場人物達は私とは正反対に動いていく。
「それが、人を書くというものだと思いますから」
登場人物達は動き出したら止まらないのだ。作者の手にはどうしようもない。
「ね、先生。これから時間ある?」
ベルモットは突然話を変えてきた。疑問符を浮かべる私をよそに、無邪気な笑顔を魅せた。
「私とデートしましょう?」
ベルモットのお誘いに、何でやねんと眼を瞬かせた。
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クリスマス・イヴだからといって、甘い話は書きません( ˙-˙)書けないからです。
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黒井蜜柑(プロフ) - トめAと@とまと:カド松さん» ありがとうございます。 (2022年5月17日 22時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@とまと:カド松(プロフ) - はい、マジ好きです応援します (2022年5月17日 21時) (レス) id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - トめAと@とまと:カド松さん» それは凄く嬉しいです。愛梨ちゃんがいてこそのこの作品なので是非とも応援してください。 (2022年5月17日 21時) (レス) id: 17dfef3a09 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@とまと:カド松(プロフ) - 夢主っぽいのがいるときいて何だ地雷か?って思ったらバリタイプだだった。 (2022年5月17日 21時) (レス) @page49 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
黒井蜜柑(プロフ) - 目覚ましさん» そう言って、いただいて幸せです! (2018年12月14日 16時) (レス) id: 16fd2908cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒井蜜柑 | 作者ホームページ:http://minanami2.naho.ayaka.
作成日時:2018年11月10日 22時