第3話 アンチ・ビター(1) ページ5
こめまん @come_man_3_da
クラスのリア充共がしねばいいのに
小6から高2まで続く年季の入ったツイ廃。今日も僕はやってられない三次元への愚痴を呟く。
......昼休みに！
仕方ないじゃん、ボッチ飯で喋る相手もいないし。昼休みに携帯いじってるやつなんていくらでもいるし。ずっとポチポチやってんのはオレだけだけどさ。
「一緒たべよ〜！」
ゆるっと気の抜けた男の声がする。
もしやオレのことか、と一瞬期待して振り向いてみたものの、その猫のような男はオレの後ろの席の女子に迷いなく近付いていった。
「なーみちゃん！」
「え、お昼も一緒食べるの？」
「もし良ければだけどね」
言葉にハートが飛んでいるようだ......。吐き気がする。ガタッと強めに音を立ててオレはさっさとその席を離れた。
＊
(あの付き合ってもないのにいちゃいちゃしてる感じ、吐き気がする)
廊下に出ると、確かクラスメイトの......川越がいた。彼女も誰かと話しているようだが、あいつはそんな甘ったるい話が好きな奴ではない。というわけで、ここなら椅子とテーブルもあるし安全圏だと思い弁当の包みを開く。
(恋愛はくそうざいと思うけど、母さんには感謝してるよ)
しかし食べながらスマホをいじることは流石に出来ない。スマホ汚れちゃうからな、壊れる方が死活問題だ。
あまりに暇をもてあまし、あまりよく見ていなかったクラスメイト、彼女をついつい観察してしまう。
あー所属してる所こそ地味だけど、結構可愛い顔してんな。他がブスだからあんま見ないようにしてたわ。変にピンクピンクしてもないし、今度話しかけてみようかなー......。
「先輩、アドバイス書いてくださってありがとうございます」
おー、礼儀正しい。しっかりしてそうだもんな。向かいの男が先輩とやら？なんか部活所属してたっけな。
「あーいいよいいよ、それくらい。川越さんが育ってくれるならそれで良い」
「あっ......、良かったらこれどうぞ。日頃のお礼です」
本当に丁寧だなー......。
いやこれ丁寧、なんだよな？
「マジ？ありがとう」
彼女はとても嬉しそうに笑う。
ずっと気付かなかったけど綺麗だった。
先輩とやらも、一瞬だけ動きが止まった。
きっと可愛いと思ったのだろう。
幸か不幸か、彼女の胸に宿る想いを偶然にも知ってしまった。
(お前もかよ！)
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作者名：Sei | 作成日時：2017年6月17日 9時
