太宰治は一人の女に夢中過ぎであるpart5

第百六十一話 ページ3

A「ふむ。今夜の食材は大体買い占めたし、あとは、本屋にでも、寄ってこの前の続きを…」

この日、Aは仕事が休みで久しぶりに街で買い物をしていた。

A「(あと、この前珍しく谷崎がすすめていた本も一応チェックしておくか…)」

なんて、思いながら歩いていると知っている顔が目線の先に二人いた。


A「(あれは…)」


Aはユサユサ買い物袋を揺らしながら二人に近づいた。


A「何してるんだ？国木田、中島。」


国木田「うお！？なんだお前かA」

中島「こ、こんにちは！Aさん！お仕事ですか？」

偶然にも街で国木田と中島の二人に会った。

A「いや、私は今日は休みでな、街で買い物をしてたんだよ」

持っている買物袋を二人に見せる。

中島「へ、へぇー(にしてもAさん、休日でもスーツを着ているんだー…)」

普段とあまり変わらない服装をしていたため、敦は目をぱちくりさせた。

A「お前らは仕事か？」

中島「あ、いえ…そのー…」

敦はチラリと国木田を見る。

国木田は、「はぁ…」と思いため息をつく


国木田「花袋の奴が恋煩いになった」




A「………え？」




詳しく話を聞くと、花袋はどうやら街で偶然会った『黒髪の撫子』という女に心を奪われたらしい。

そして、それを聞いた二人は『想いを伝えようという』敦の案が出てきて、その案に賛成した花袋も腹を括って探偵社に『黒髪の撫子』探しの依頼を申し込んだ。

A「なるほどな、でもまさかアイツ(花袋)が恋煩いをするとは、これは予想外だったな」

中島「そういえば、Aさんも花袋さんをご存知なんですね」

A「まぁな、けど会うのにはそれは苦労したぞ私が探偵社入った三年後にようやく会えたんだからな」


中島「さ、三年後！？」


国木田「あいつは女が苦手だから…((ボソッ それに、Aの奴はほかの女よりも顔立ちが少し良いからな、恥ずかしくてさらに顔を合わせるのを拒むんだ。」

国木田はAに聞こえないよう敦に言った。

中島「あぁ…なるほど…」

それを聞き、敦は納得したように頷いた。

A「？」

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