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100年前の話 ページ2

そうですね。あれは100年ほど前です。

 まだ、私があなたの知っている体だったときの話ですね。

 あれは古くなってしまったので変えたんですよ。今回は男性の見た目にしてみました。理由? 特には、私に性別はないですし、強いて言うなら気分ですかね……。

 あなたが眠りについたすぐ後、一人の幼い少女が私のところに来ました。

 あのときは大きな地震があった後で、棚の本が落ちてしまってその片付けに忙しかったのですがそんな中、少女がどこからともなく現れて私に話しかけてくるのです。

 私も皆と同じように家に帰りたい、と少女は言いました。

 今思い返せば、少女は夏だというのにコートをしっかりと着込んでマフラーに手袋もしていました。私でさえいつも着ている上着を脱ぐほど耐え難い暑さだったのに。

 なぜかそのときはおかしいとは思わなかったのです。

 あのときは突然の災害で混乱していたからかもしれませんが……。

 ともかく、少女は皆と同じように家に帰りたいと何度も言うのです。

 最初は意味が分かりませんでした。暑さで少しボーッとしていたのです。それでも、よく話を聞いてみると、少女はあなたと同じように人の姿になった本でした。

 本棚から投げ出され、帰り道が分からず不安になって人の姿になって私に助けを求めたのです。

 本があった本棚は私の担当場所でしたから。

 本のタイトル?

 ええっと、確か……、あ、「雪」です。

 エミリオ・メイソンの詩集の内の一冊です。

 あれもかなり貴重なものです。大事にされていた、だから命が宿ったのではないかと考えています。

 あなたに続いて2件目の非常に珍しい例です。

 話がそれましたか?

 その少女から話を聞いて、私はその少女を元の場所に連れていってあげたのですが、少々問題がありました。

 少女は、本の姿への戻り方が分からなかったのです。

 そのまま人の姿の状態で本棚に押し込める訳にもいきませんし、私自身は本ではないのでどうしたらいいか分からない、唯一の例であるあなたも眠りについたばかりで起こすわけにもいかない。

 完全にお手上げでした。

 困っていたとき、彼が来たんです。

 前にも話した彼です。あの、受付を担当している彼。

 何を思ったか彼は、事情を聞くなり少女の頭を思いきり叩いたのです。

100年前の話 2→←おはよう



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そこら辺の水道水(プロフ) - 神だ・・・神に出会ってしまった… (12月29日 17時) (レス) id: 44bf365a1c (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - とても面白くて一気に読み進めてしまいました…! (9月13日 21時) (レス) id: b13ee48946 (このIDを非表示/違反報告)
lkwisterven - タイトルにつられてやってきました!めっちゃ面白いです (2019年8月17日 11時) (レス) id: a124146768 (このIDを非表示/違反報告)
みるくプリン(プロフ) - はじめまして!タイトルに惹かれて一気読みしました。面白かったです(*^^*)更新楽しみに待ってますねっ。 (2019年8月9日 13時) (レス) id: 7db76bcf0c (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 何故か声が聞こえてきます......(幻聴)妄想が膨らんでとてもおもしろいです! (2019年8月6日 22時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年7月19日 17時

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