病気とは言わないで２

わたしはだぁれ？　２ ページ15

「ボクはここにいるよ？」

　顔を覗き込んだまま笑顔でジャックは言う。

「ボクはね、二人もいないはずなんだ……」

　急にジャックが何とも言えない顔をして、そんなことを言った。

「それ、どういう……こと？」

　さっきのことと何か関係があるかもしれない。そう思って聞いてみた。

「あのね。さっきこっちに来るとき、走ってたからちょっとしか見てないんだけどね、ボクみたいのがいた気がするんだ」

「ジャックが？」

「うん」

　ジャックがもう一人いるなんてことはあり得るのだろうか？何かの見間違いかもしれない。

　でも、本当にいたとしたら……。さっきと今のジャックの態度が違うというのも何となく説明がつくかもしれない。

「ユカも見てない？ ボクのこと」

「……さっき、ここにいたよ」

「本当に！？」
　
「うん」

「でもボクは今ユカのところに来たんだよ、うーん、やっぱりボクはもう一人いるのかなぁ？」

　すると、ジャックはベッドから出て両手を広げてくるりと一回転して見せた。

「これがボク。ボクはホンモノかな？ それともニセモノかなぁ？ 考えてたらおなか減っちゃったね、何か食べに行こうよ」

　そう言うとジャックは、私の腕を掴んでベッドから立たせるとそのまま引っ張って部屋から連れ出した。

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