病気とは言わないで２

消えた守護者 ページ42

病室の前まで来て、扉を開けるとすぐそこにイートが立っていた。

　彼女はとても不安そうな表情をしていたけど、私に気がつくと少しばかり明るい顔になった。

「ユカさん！ 良かった、やっと会えた」

「イートが探してるって、先生が言ってた」

「あ、それで、戻って……。ごめんなさい、何か他に用事があったかもしれないのに、私のせいで……」

　一気にイートの表情が暗くなる。

　うつむいて、今にも消えてしまいそうな震えた小さな声で何度もごめんなさい、と繰り返し始めた。

　どうしよう。

　イートは何も悪くないのに。

　何て言えば……。

「いいよ、私暇だったから。だから、その、……謝らないで。イートは、悪く、ないから」

　少し考えて、私はそう言った。

　下手くそだな、そう思う。今の私じゃこれが限界だった。

　人を慰めたり、励ましたりするのは苦手だ。

　それでもイートは謝るのをやめて、元の感じに戻った。

「ありがとうございます。良かった、迷惑じゃなくて……。えっと、ユカさん、あの、その、探していたのはですね、お話があって……、私の髪の毛、エイトのことなんですけど……」

　そう言うイートの目には涙がじんわりと浮かんでいた。

「……大丈夫？」

「は、はい。大丈夫です」

　服の袖で涙を拭ってイートは話を続ける。

「今朝、……あ、その、毎朝同じ時間にエイトが起こしてくれるんですけど、今日は起こしてくれなくて、何でかな？ って思って、その、話しかけても、何をしても姿を見せてくれないし、答えてくれなくて……」

　ぽたんと床にイートの涙が落ちた。

「エイトがどこにもいない、いなくなっちゃったんです。私、どうしたらいいですか？」

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