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契約違反 ページ20

真夜中、暗く人気のない路地裏に破裂音が2回響く。

 胸と頭から血を吹き出し、人の形をしたそいつが倒れる。

 目玉のついた帽子に仮面、大きな赤い蝶ネクタイ、紫のベストに黄緑のワイシャツとズボン、不思議な格好をしたそいつを手に持った拳銃で撃ち抜いた男は、ガタガタと震えており、上等な服を着ていたが返り血で汚れて乱れていた。

「はぁ……、はぁっ……」

 肩で息をする男の後ろに人影が現れる。

「ねぇ、エドモンド?」

 その声を聞いた男の表情が凍った。

「あんまりじゃあありませんか? 私はあなたの望みを叶えたというのに、あなたは代償を支払わずに私を殺して逃げるなんて」

 そう言ったのは先程男が撃ち殺したはずの奴だった。

 そいつは先程と全く変わらない何事もなかったかのような姿で、かくんと首を傾けて男を見た。

「心臓を撃ち抜いたんだぞ!? 何故、何故お前は死なない、こ、この……ばっ、化け物め!」

 男が叫ぶ。

「あはは、あなたのような人間だけでなく悪魔にもよく言われます。でも私その言葉嫌いです。化け物なんて、そんな風に言ってほしくない」

「なっ……」

 そいつが一歩、男へと近づく。

 男は恐怖で硬直し、動けないようだった。

「私、モノクロから聞いたんです。悪魔と契約して、自分の望みが叶ったら代償を支払わずに契約した悪魔を殺して逃げる、そんな男がいると」

 また一歩近づく。

「それって、あなたですよね?」

「う、うわぁぁぁぁぁ!」

 男が叫び、拳銃をそいつに向け撃った。

 破裂音と血肉が飛び散る音が路地裏に響く。

 残っていた銃弾全てをモロに食らったそいつは血を流しながら倒れると、完全に死んだのか動かなくなった。

 それを見た男は踵を返し、震える足でどこかへと走り去っていった。

 路地裏には全く同じ人物の死体が2体残っているだけだったが、次の瞬間、死体と全く同じ人物が再び現れた。

 しかし先程とは1つ違うところがあった。

 顔を隠していた仮面がなかった。

 そいつは素顔のまま辺りを見回して男の姿を探したが、既に男はどこかへと走り去った後だったので、見つけることはできなかった。

「あぁ、悔しい。逃げられてしまうなんて」

 そいつの声が路地裏の闇に溶けて消えた。

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あんみつすむーじー(プロフ) - ああああ!!モノクロ優しいッッッ!クエスチョンいい子ッッッ!最推し尊いッッッ!!好きッッッ! (2022年3月22日 13時) (レス) @page42 id: 61f5df45e6 (このIDを非表示/違反報告)
- ヤバいヤバいヤバい!!!モノクロとクエスチョンの絡み大好きなんだが!特にモノクロが弱ってるときのやつが好き!!! (2021年12月26日 0時) (レス) @page39 id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
玄米 - 新作ぅ!!嬉しいですよぉぉ!!めっちゃ早くに見れてすごく嬉しいです。イラスト集のやつに載せてたやつですよね?めっちゃ見てぇと思ってました。ありがとうございます!!by謎にコメント率高いやつ (2021年4月19日 16時) (レス) id: 1208f61fed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2021年4月19日 2時

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