あの日の夢 2 ページ19
本当に僕の母さんでいてくれてありがとう。
次に父さん。
悩んでいるときは相談に乗ってくれたり、困ったときは助けてくれたり、いつも僕の力になってくれてありがとう。
父さんは』
手紙をグシャグシャに丸めて、投げ捨てる。
知らない。そんなの。
母さんに優しくしてもらったことなんてない。
それどころか写真でしか知らなかった本物の母さんの姿を見たのは今日が初めて。
父さんは言葉と文字の読み方を教えてくれて、ゲームをくれた。くれただけ。
それ以外で姿を見たことがない。
やっぱり父さんも冷たい目をしていた。
だから、知らない。
知らないことばかり。
あぁ、僕は……。
何がいけなかった? どこで間違えた? どうして、何で?
この写真に写るのは、この手紙を書くのは、僕だったはずなのに。
名前を呼ばれるのは僕だったはずなのに。
駄目だ、もう、駄目だ。
どうする?
そうだ、最初からやり直そう。
ゲームみたいに、ゲームで出来るなら、現実でも……。
「……おい、…………おい」
その時誰かが呼ぶ声がした。
「おい、起きろって」
声がはっきり聞こえて、一気に夢から現実へと引き戻される。
「クエスチョン。おい、クエスチョン。いい加減起きろ」
目を覚ますとそこにはよく知っている顔があった。
真四角のモニターに映し出された白と黒の不思議な顔、それは少々不機嫌そうな表情をしていた。
「あ、僕……。……私、寝てました?」
「ああ、寝てた。夕飯が出来てる、食うぞ」
前に私があげたエプロンをして、美味しそうなご飯の匂いをさせながらモノクロが言う。
「あらモノクロ、もう夕飯作ったの? 早くないですか? 私さっき寝たばっかり」
「時計を見ろよこの馬鹿、いつもこの時間に作ってるだろ、ゲームのやりすぎで時間の感覚がおかしくなってんだよ」
床に転がったデジタル時計を見ると確かに、いつもモノクロが夕飯を作ってくれる時間だった。
「だって、楽しいんですもん。モノクロも一緒にやりません? 世界中の人とやるの、3人のグループになって、銃とか色々使って……」
「昨日、一昨日と何も食ってないだろ、今日は食って貰うぞ。何も食べなかったら力が弱ってく一方なんだ、それに睡眠不足もよくない食ったらすぐ寝ろ。ほら、冷める前に行くぞ」
「分かった、行く」
先に部屋を出たモノクロに着いていくようにして部屋を出る。
やり直してよかった。
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あんみつすむーじー(プロフ) - ああああ!!モノクロ優しいッッッ!クエスチョンいい子ッッッ!最推し尊いッッッ!!好きッッッ! (2022年3月22日 13時) (レス) @page42 id: 61f5df45e6 (このIDを非表示/違反報告)
凪 - ヤバいヤバいヤバい!!!モノクロとクエスチョンの絡み大好きなんだが!特にモノクロが弱ってるときのやつが好き!!! (2021年12月26日 0時) (レス) @page39 id: 7248708266 (このIDを非表示/違反報告)
玄米 - 新作ぅ!!嬉しいですよぉぉ!!めっちゃ早くに見れてすごく嬉しいです。イラスト集のやつに載せてたやつですよね?めっちゃ見てぇと思ってました。ありがとうございます!!by謎にコメント率高いやつ (2021年4月19日 16時) (レス) id: 1208f61fed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2021年4月19日 2時