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もう一人 ページ8

「だっ、誰だお前は!」

「俺ぇ? 誰だろうなぁ? わかんねぇや。そういうお前は誰なんだよ? 人に名前を聞くときは自分からだろぉ?」

「ローズを…………、私の妻を殺したのか?」

「殺してないさ、俺のにしたんだぁ……」

 そうだ。これは誰にも渡さない。

「貴様……」

 父親の顔は真っ青になっていた。

 体が硬直して動けないようなので、こっちから近付いていってやる。

「なぁ。お前も俺のになってくれるだろ?」

「何を…………」

 今度は父親の足を思いっきり蹴る。

 バランスを崩した父親は仰向けに倒れた。床に頭をぶつけた鈍い音がする。

「うぅ……」

 倒れた父親の胸に片足をのせた。

「やめろ……」

 だんだんと胸に体重をかける。

 父親は必死に手足をばたつかたり、胸の上の足を引っ掻いたりして抵抗している。

 でも何の抵抗にもなっていなかった。痛くない。力も弱っていく。

「あぁ……、ぐぇ、あ。頼む……」

「んん?」

「どうか、……どうか、娘だけは……。娘、だけは。見逃して、くれ…………」

「あぁ。あのかわいこちゃんか。マーズっていったっけ? いいよなぁ、あの子も欲しい」

「やめろっ……! 娘だけは…………」

「嫌だ。娘も揃えなきゃ幸せな家族じゃない。だからあの子も欲しいんだ」

 ぼきっ。何かが折れた。潰れた感じがした。

「あぁあ!」

 父親が苦しそうに呻く。でもまだ生きている。

 胸にのせていた足をどける。これで自由になったはずだが、苦しそうに呼吸するだけで動こうとしない。

「……あー。お話しできるかぁ?」

「頼む、娘は…………」

「話せるな。こっちにこいよ」

 襟のあたりを掴んで、ずるずると父親が出てきた部屋の方へ引きずっていく。

 部屋はどうやらリビングになっているようだ。キッチンも一緒についているタイプのもののようで、家族でご飯を食べるテーブルもあった。

 テーブルに椅子は4つ。

「いつもどれに座ってるんだ? なぁ」

「娘だけは……」

 父親はこちらの話を聞かずに娘がどうのこうのと呻いている。

「どこに座ってるか聞いてるだろ! おい、答えろよ!」

 思わず怒鳴ってしまった。

 だが効果はあったようで、父親はびくりと体を震わせたあと、小さな声で答えた。

「ここから、見て……。一番奥の、席だ…………」

「最初からそう言えばいいんだよ。馬鹿な奴だ」

 そして父親をその席まで引きずっていき、無理矢理椅子に座らせた。

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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです!本当に大好きです!頑張って下さい! (2018年8月1日 21時) (レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇`)ノ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ!素敵です!これからの展開も、楽しみしています! (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:衛生兵079 | 作成日時:2018年5月13日 20時

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