それはとても幸せそうだった ページ6
買い出しのために近くのスーパーマーケットに来た。
そこまで大きな店ではないが品揃えが豊富で、商品の質も良い。
お金に困ってはいないので、食べたいと思った好きなものを適当に買い物かごに放り込んでいく。
冷凍食品、菓子パン、よく分からない魚、野菜、青リンゴ、買うものにまとまりはない。
「おかあさん！ これ買って！」
隣を７、８歳くらいの女の子が売り物であろうおもちゃを抱えてパタパタと駆けていった。
その気はなかったが、ついその女の子を目で追ってしまっていた。
「おかあさん。これ買ってよ！」
「駄目よマーズ。この間買ったばかりじゃない」
「えー。やだやだ買ってよー！」
「もう、マーズったら……」
「こら、マーズ。母さんを困らせるんじゃない。この間も買ってきたじゃないか、必要ないだろう？」
「んー…………。わかったよぉ」
「ふふ、良い子ね」
「お前に似て素直で良い子だな」
「まぁ、あなたったら……」
幸せそうな家族。
母親、父親、そして娘。みんなニコニコ笑っていて幸せそうな顔をしている。
家族がその場から離れていく。気が付けば買い物かごを放り出してふらふらとその後を追っていた。
その家族が会計を済ませスーパーマーケットから出ても追いかけた。気付かれないようにそっと慎重に。
その間もずっと家族は幸せそうで、他愛のない会話をして、楽しそうに笑って、仲が良さそうだった。
羨ましい。欲しい。
自分が住んでいるところとは逆方向だが、スーパーマーケットから近い住宅地の大きな一軒家にその家族は住んでいた。
「ここかぁ……」
あの家族にぴったりの家だ。とても良い。
自分が訪ねたらどんな反応をするだろうか。
幸せを分けてくれるだろうか。
そんなことばかり考えて、いつの間にか辺りは夕暮れに包まれていた。
覚束ない足取り歩き、その家の玄関の前に立つ。
そして震える手で、そっとインターホンを鳴らした。
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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです！本当に大好きです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 21時) (
レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇｀)ﾉ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ！素敵です！これからの展開も、楽しみしています！ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年5月13日 20時
