訪問の訳 ページ31
「……マトモッテ何デショウネ」
「まともでいるのは大変らしいな。俺は駄目だったみたいだ、よくまともじゃないって言われる、今みたいにな。こんなにちゃんとしてるのになぁ。あ、次ショートケーキ取ってくれ」
そう言ってまた箱を指差すと、さっきと同じようにクラウディは箱からケーキを取ってくれた。
チョコレートケーキの紙の皿もまたさっきと同じように端に寄せて、取ってもらったショートケーキを食べ始める。
「俺一応客なんだけど」
「あぁ、そうだったな。で、何しに来た」
「何で俺にそんなに冷たいんだよ、差別か？」
「差別ぅ？」
プラスチックのフォークを緑の苺に突き刺す。
「ははは、違うな。差別じゃない。ただお前のことが好きじゃないし、嫌いじゃないだけだ」
「曖昧な回答どうも。さて、今日の用件だが……、うーん。何て言ったらいいんだ、まぁ、お前にあげたよな、２週間くらい前にさ」
「６人家族か？ 幸せだったなぁ……」
２週間くらい前だったら確かそうだったはず。
とっても幸せな素敵な家族。居心地がよくて、かなり長いこと一緒に過ごした。
「６人家族？ 何言ってるんだお前、数が分からなくなったのか？ 俺があげたのは３人家族だろ？」
「３人家族？ いいや、確かに６人だった。お母さんとお父さん、お姉ちゃんに弟、それからお爺ちゃんお婆ちゃん。ほら、６人家族だ」
「はぁ？ ……もしかしてお前、間違えたのか？」
「恐ラク、イエ、間違イナク人違イデショウネ」
「３人家族だったら昨日だな。お母さんとお父さんと娘ちゃん。あれもよかった」
「うーん。それも違うんだよなぁ……」
クラウディが懐から１枚の写真と折り畳まれた紙を取り出した。
「持ってきてよかった。……ほらこいつ」
そう言いながら、クラウディが写真をこちらに見せる。
「あぁー、なんか見たことある顔だ」
「見せたんだよ。こいつとこいつの妻とこいつの息子をお前にやるって言ったんだけどなぁ、レインさん！？」
「そう怒るなよ、そんとき風邪引いてボーッとしてたし、幸せな家族くれるってとこしか覚えてなかった」
「自分の体調管理はしっかりやれ！ それに写真と詳細書いた紙渡しただろ！？ それはどうした！？」
「鼻かんで捨てた」
「もうお前やだ……」
がっくりとうなだれるクラウディの前に、食べ終わったケーキのごみを積んでやる。
「ほら、アルミホイルでも噛んどけよ。落ち着くぞ？」
「噛ムト落チ着ク……」
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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです！本当に大好きです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 21時) (
レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇｀)ﾉ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ！素敵です！これからの展開も、楽しみしています！ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年5月13日 20時
