一人の家 ページ3
「ただいまぁ〜っと……」
返事はない。
二週間ぶりに帰ってきた我が家は、うっすらと埃が積もっていた。
「少し空けすぎたかな」
古いというのもあってか、すぐに汚れが溜まってしまう。趣がある。とはよく言ったもので、実際はただボロいだけのアパートだ。
でもトイレ、風呂、キッチン、それに部屋が３つ、安い家賃でこれだけ広い部屋を貸してくれるところは他にはないだろう。
ましてや、自分のような奴に貸してくれるなんて普通はあり得ない話だ。
だだ、広いせいで掃除も大変だ。あまり家を空けないようにしたいがつい、滞在先が心地よくて長居してしまう。
「掃除しなきゃなぁ……」
使っていない１つの部屋はいいとして、まずは寝室兼研究室にしている部屋を掃除することにした。
案の定、寝室兼研究室にもうっすら埃が積もっていた。しかも、実験途中に出てきたため、嫌な臭いが部屋に充満している。
体に良いものではないので換気のために窓を開け、どこから手をつけようかと考えていたとき、ふと目に留まったのは机の上に乱雑に置かれた実験器具だった。
実験器具に積もった埃を指でとり、それをそっと自分の口に運ぶ。
単なる好奇心だ。昔読んだ本の中に、埃を食べる老女の話があった。だから、自分も食べてみた。それだけのことだ。
美味しくはない。というか気持ちが悪い。あの本の老女はよくこんなものを平気で食べられたな。
埃をもりもりと美味しそうに食べる老女を思い出したのと、部屋に充満する薬品の臭いとで吐き気が込み上げる。
「気持ち悪りぃ…………」
吐き気に耐えきれなくなって、トイレに駆け込んだ。
「うえぇぇぇぇ」
胃の中に入っていたものを全部吐き出す。せっかくたくさん食べたのに、もったいない。
ただただ気持ち悪い。自分で原因を作ったとはいえ、最悪の気分だ。
しばらくして、あらかた吐き終えて少しはスッキリはしたが、気分はあまりよくない。
本当は良くなるまで休めば良いのだが、掃除をしなければベッドでゆっくり横になることもできない。
何より埃っぽいままにしておくのは嫌だったので、掃除を再開しようとしたとき、誰かが玄関のドアをノックした。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです！本当に大好きです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 21時) (
レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇｀)ﾉ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ！素敵です！これからの展開も、楽しみしています！ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年5月13日 20時
