青い目と目が合った ページ13
「あった。これだ」
たくさん置かれたファイルのひとつにそれを見つけた。どうしてもっと分かりやすいところに仕舞っておかないのか。
機械部品や実験器具も散乱しているし、ファイルの日付もバラバラ。気に入らない。
でもそんなことより今は、この機械少女だ。
紙に書かれた手順に沿って、起動の準備をする。
コードを引っ張り出してきて、少女の首と机の上にあるパソコンに繋ぐ。
紙に書かれた手順に沿って操作すると、少女を起動させるためのパスワードを入力する画面がパソコンに表示された。
しかし、パスワードは紙に書かれているので何の問題もなかった。
パスワードから何から全部書いてしまっていいんだろうか。あまりにもザル過ぎて少し笑えてくる。
「"MARS"っと。……娘の名前かよ」
「パスワード入力完了。起動させますか？」
「うわっ、喋った……」
青い画面に、「はい」と「いいえ」が表示され、迷うことなく「はい」の方をクリックした。
少女の体から小さく起動音が漏れる。
早く、早く動け。
「あ」
閉じていた少女の目が開かれた。綺麗な青い目をしている。しかし生きている人間のような光はなく、死んでいるような目だった。
でも、ちゃんと動いている。この時点で先程の好奇心はほとんどなかった。動けばそれでいい、本当にそれだけだった。
すると少女がゆっくりと台から体を起こし、キョロキョロと辺りを見渡した。
目と目が合い、少女がはっきりとこちらを見た。
少女は首に繋がったコードを引き抜いて立ち上がり、そして自分の前まで歩いて来ると丁寧にお辞儀をした。
「コンニチハ。私ハ『ムーン・サニィ』。気軽ニむーんトオ呼ビクダサイ」
無機質だがどこかで聞いたことのある声。多少加工されているものの恐らくあの娘のものだろう。
「合成音声か。まぁ、悪くない」
「アリガトウゴザイマス。デスガ……」
少女がチカチカと目を点滅させる。
「貴方ハ私ノでーたニアリマセン。貴方ハ誰？」
「え？ 俺ぇ？」
「私ノ家族ノ知リ合イデスカ？ ソレトモ部外者？ 貴方ハ誰？ 教エテクダサイ」
「あぁ、俺は……」
「誰」
「俺はコマゴメピペット。ピペットって呼んでくれ」
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慈雨 - この壊れっぷりがたまらないです！本当に大好きです！頑張って下さい！ (2018年8月1日 21時) (
レス) id: 15d4cc16a2 (このIDを非表示/違反報告)
ネギトロ@38(プロフ) - コメント失礼します。とても引き込まれ、次へ次へと読み進めてしまいました。更新、頑張ってください (2018年6月3日 9時) (レス) id: 367ddc4bce (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ピペットくんのぶっ飛び具合、たまりませんヾ(´∇｀)ﾉ それに、駒込ピペットから名付けるなんて羨ましいほどのセンスの高さ！素敵です！これからの展開も、楽しみしています！ (2018年5月25日 3時) (レス) id: 4785678acf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2018年5月13日 20時
