屋根裏のブラウス ページ3
こちらの赤いブラウスはある家の屋根裏から発見されたものです。
何でもその家に住んでいた一家は引っ越してきてからというもの、毎晩女性のすすり泣く声がどこからともなく聞こえてくるので眠れずにいました。
しかもそのすすり泣く声というのは日に日に大きく、家族の方へと近づいていきました。
家族全員違う場所で寝ていたのですが、それぞれの近くへと女の泣き声は近づいてきたのです。
ある日とうとう耳のすぐそばで泣き声がするようになり、家族での話し合いが行われました。
「毎晩毎晩若い女がすすり泣く声がする」
父親がそう言うと、母親が言いました。
「違うわ。おばあさんの泣いている声よ」
おばあさんが言います。
「私には小さな女の子の泣き声に聞こえるけどねぇ」
家族が気味悪く思い始めた頃、まだ幼い一人娘が大きな声で言いました。
「みんな何を言っているの？ たくさんの女の人の笑い声じゃない」
それを聞いた家族は恐ろしくなり、原因を突き止めようと家中を探し回りました。
そして父親が屋根裏への入り口を見つけ、そこに入るとピンク色のブラウスだけがありました。
父親は家族には言わずにそのブラウスをゴミ袋に詰め、遠くのゴミ捨て場へ行き捨ててきました。
その晩、女の泣き声はしませんでした。
しかし代わりに大きな大きな笑い声が家中に響いたのです。
家族が慌てて笑い声のする子供部屋に行くと、そこでは女の子が目と鼻から血を流し狂ったように笑い転げておりました。
話は通じず、笑いが収まることもありません。
その時父親は気づいてしまったのです。我が子があのピンクのブラウスにそっくりな服を着ているということに。
このブラウスは襟が特徴的なデザインになっていますから、それで気がついたのでしょう。
目から流れた血で真っ赤に染まっておりましたが、間違いなくあのブラウスでした。
慌ててブラウスを脱がせましたが子供は二度と元には戻ることはなく、食事も取らずに笑い続け最終的には衰弱死してしまったそうです。
それからこの赤いブラウスは様々な自称霊能者の手に渡り、ここへやって来ました。
泣き声は聞こえるか？
いいえ。私はどうにもそういった感覚が鈍いようで、どんないわくつきのものが側にあろうと何ともないのです。
だからこそ、ここで一日中これらに囲まれていられるのです。
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くろねこらいふ(プロフ) - 選ぶとしたら、豪華客船の遺物と駅のコインロッカー、忘れ物の雨傘が好きです。特に忘れ物の雨傘は、めちゃくちゃ好きです。アガパンサスの花言葉を調べて、さらに好きになりました。店主の喋り方もすごく好きです。これからも衛生兵さんの小説楽しみにしています！ (7月16日 23時) (
レス) id: 0083a1a0dd (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - この作品とっても面白いです！一気に読んでしまいました…と言いたいところですが、深夜なので怖くて恐る恐る読んでいます😂どうしてこんなに恐怖心を掻き立てられる文章がかけるのか…本当に尊敬します。語り手の口調も好きです。これからも頑張ってください！ (7月8日 2時) (レス) @page7 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2023年7月8日 1時
