身代わりの人形 ページ14
こちらの赤い椿柄の着物を着た市松人形は身代わり人形として作られたものです。
お手を触れないように。傷がつくと困りますから。
こちらの人形が作られたのは今から150年前なのですが持ち主がころころ変わり、現在私が107人目の人形の持ち主となっております。
どうしてこんなにも持ち主が変わるのか、不思議でしょう？
人形の一番最初の持ち主であった少女の話です。
少女は病弱でいつも寝てばかり、そんな少女のためにと、少女の病気を肩代わりしてもらおうと両親が買ってきたのが全ての始まりでした。
しかし母親が手を滑らせ人形を階段から落としてしまいました。
ですが不思議なことに人形には傷ひとつありません。母親が奇妙に思っていると少女の部屋から耳をつんざくような悲鳴が聞こえてきました。
慌てて母親が部屋へ行くと、そこには全身あざだらけにになった少女が首をありえない方向へ曲げて亡くなっていました。
その姿はまるで、階段から落ちてしまったようだったそうです。
逆だったのです。この人形の持ち主になった人間は人形の身代わりになってしまうのです。
どんなに厳重に、大切に保管しても人形の身に不幸が降りかかる。そして不幸は全て人形代わりに持ち主が被ることになってしまいます。
大抵その不幸は命に関わるもの、たとえ生き残ってもろくなことにはなりません。
それに加え不幸が起きると何故かその人形はすぐに売りに出されたり、他人に譲られたりして新しい持ち主の元へと行くのです。
これが持ち主がころころ変わる訳です。
私ですか？
私はまだ大丈夫ですよ、人形の持ち主になって10年以上になりますが何も起こっていません。
恐らく、あれでしょう。ほら、毒を以て毒を制す、……とはまた違いますかね。
ここにあるものは全ていわくのあるものです。
その中には持ち主に不幸を呼ぶもの、幸運を呼ぶもの、死を呼ぶもの、生を呼ぶもの、相反するいわくがあるものがあります。
今のところそれら全て、私が持ち主です。
それぞれが呼び寄せたものが互いに打ち消し合っているから、私の身には何も起こらず今こうして無事に健康にいられるのではないかと思うのです。
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くろねこらいふ(プロフ) - 選ぶとしたら、豪華客船の遺物と駅のコインロッカー、忘れ物の雨傘が好きです。特に忘れ物の雨傘は、めちゃくちゃ好きです。アガパンサスの花言葉を調べて、さらに好きになりました。店主の喋り方もすごく好きです。これからも衛生兵さんの小説楽しみにしています！ (7月16日 23時) (
レス) id: 0083a1a0dd (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - この作品とっても面白いです！一気に読んでしまいました…と言いたいところですが、深夜なので怖くて恐る恐る読んでいます😂どうしてこんなに恐怖心を掻き立てられる文章がかけるのか…本当に尊敬します。語り手の口調も好きです。これからも頑張ってください！ (7月8日 2時) (レス) @page7 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衛生兵079 | 作成日時：2023年7月8日 1時
