検索窓
今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:2,284 hit

死体の積み木 ページ13

こちらの青い三角の積み木はある男が持っていたものです。

 ……持っていた、というのは少し違うかもしれませんね。

 まずは、この積み木が発見された経緯をお話しましょう。

 十数年前のことです。ある公園に毎日のようにやってくる男がいました。

 男は近所でも有名な変わり者で有名でした。真夏でも分厚い黒のコートを羽織って、ただ何をするでもなく公園の隅のベンチに座って遊ぶ子供達を見ているのです。

 初めの頃は気味悪がられ、子供達はその公園で遊ぶのを避けていましたが慣れというのは恐ろしいもので、いつの間にか子供達は男を無視して普通に公園で遊ぶようになっておりました。

 そんなある日、その年で一番暑かった夏の日のことです。

 いつも顔を上げて子供を見ていた男が、ずっとうつむいているのです。

 誰も男のことなど気にしなくなっていたためにすぐには気づかれませんでしたが、数日はうつむいたまま、一度も動かずただじっとベンチに座っていました。

 ……夏でしたからね、すぐにそれは発覚しました。

 公園から異臭がする。そんな通報を受け、警察が現場へと向かいました。

 えぇ、そうです。異臭の原因はその男でした。

 男はベンチに座ったまま死んでいたのです。

 あの初めてうつむいていた日、その日には死んでいたそうですよ。つまり子供達は死体のそばで楽しく遊んでいたわけです。

 嫌ですねぇ。

 その後男の死体は回収され、まぁ事件の可能性もありますから死因の特定のため司法解剖が行われました。

 するとなんということでしょう、男の胃袋の中にはぎっしりと、それこそお腹が膨れて見えるほど食べ物ではないものが詰まっていたのです。

 それはハンカチ、ポケットティッシュやお菓子の包装、家の鍵、ゲームのカセット、ストラップ、小さなプラスチック製のスコップ、なわとび等々たくさんの物でした。

 この青い積み木も男の腹から出てきたものです。

 警察の調べによると出てきた物は全て、生前に自分で飲み込んだそうですよ。

 ……分かりますか?

 さっき言った物、全て子供達が公園に忘れていった、落としていった物です。

 子供達が皆自分の家へ帰った後、男は公園を隅々まで探し物を拾い集めていたのです。

 そしてある時それらすべてを飲み込んで、そのまま亡くなってしまった。

 一体彼は何がしたかったのでしょう。私には理解できません。

身代わりの人形→←縁切りの裁ちばさみ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (12 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
5人がお気に入り
設定タグ:オリジナル , ホラー , 短編 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

くろねこらいふ(プロフ) - 選ぶとしたら、豪華客船の遺物と駅のコインロッカー、忘れ物の雨傘が好きです。特に忘れ物の雨傘は、めちゃくちゃ好きです。アガパンサスの花言葉を調べて、さらに好きになりました。店主の喋り方もすごく好きです。これからも衛生兵さんの小説楽しみにしています! (7月16日 23時) (レス) id: 0083a1a0dd (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - この作品とっても面白いです!一気に読んでしまいました…と言いたいところですが、深夜なので怖くて恐る恐る読んでいます😂どうしてこんなに恐怖心を掻き立てられる文章がかけるのか…本当に尊敬します。語り手の口調も好きです。これからも頑張ってください! (7月8日 2時) (レス) @page7 id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:衛生兵079 | 作成日時:2023年7月8日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。