ヒトゴロシは語る

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マリアを殺してから、確か……、あのときは26だったから、3年後かな。

　あの後旅から戻ってきてすぐに新しい会社に勤め始めて、何事も順調に行って、まぁ、楽しく暮らしてた。

　ミッシェルとは、仕事帰りにバーで一人で飲んでたときに知り合ったんだ。

　逆ナンってやつでさ、向こうはとても退屈していたとこに俺が来たから声をかけたんだと。

　そんで何故か、俺達仲良くなったんだよ。

　ミッシェルは俺より10も年上でさ、それなのに俺と同じくらいの歳かそれよりも下に見えるくらい若くて綺麗だった。

　……俺ってさ、そういうところに行くとよく年上の女に声をかけられるんだよ。

　何ていうか、その、好みの顔をしているんだってさ。年上の女にとって。

　刑事さんはどう？ 俺の顔、好き？

　……へへ、そんな怖い顔するなよ。

　それでまぁ、ミッシェルと話している内に気がついたら今度の週末に俺の車でドライブに行くことになっててさ。

　実際行ったんだよ、ドライブ。

　さっきも言ったカッコいい車でさ。

　名前は覚えてないけどでっかくて綺麗な湖のある公園に行ってさ、そこで2人で弁当広げて楽しくお喋りしながら食ったりしたんだよ。

　……今考えてみると、何でそうなったのか全く分からないんだ。

　ミッシェルは俺の好みのタイプじゃなかったし、共通の趣味とか話題があったわけでもなかったし、本当に何であんな仲良くできていたんだって感じだった。

　なんか、こう、思い出してみたらミッシェルって自分の思うようにことを進めるのが上手かったんだよ。

　普通に喋ってたはずなのにいつの間にか他の選択肢が潰されてて、ミッシェルの選択肢を選ぶしかなくなってたりして。

　あいつ自然に俺の予定を空けさせてデートの予定入れさせたり、自分の欲しい言葉を引き出させるのがとんでもなく上手かったんだ。

　本当、恐ろしい女だった。

　宗教とか、壺とか変な水売りつけるような女ではなくて良かったけどさ、あぁいうのを魔性の女って言うんだろうよ。

　まぁ、そんな魔性の女は俺に殺されてもうこの世にはいないけど。

　あれは、4回目のデートの時だった。

　ミッシェルは自然豊かな場所、ってのが好きだったみたいでさその日は山にハイキングに行った。

　2人で並んでのんびり歩いて、自然を楽しんで。

　冬の少し手前でそういうレジャーとかのシーズンを過ぎてたから、人はほとんど、俺達2人以外にはいなかった。

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